クーラー病とは?
暑い夏にエアコンは欠かせないものですが、「クーラー病」という言葉を聞いたことはありますか?
正式な病名ではありませんが、冷房の効いた部屋と暑い外気との急激な温度差によって、私たちの体の調子が崩れてしまうことを指します。
自律神経のバランスが乱れることが主な原因です。
症状の特徴
クーラー病の症状は人によってさまざまですが、以下のようなものがよく見られます。
手足の冷えやむくみ
だるさや疲労感
肩こり、頭痛、腰痛
お腹の不調(腹痛、下痢、便秘)
食欲不振
風邪のような症状
クーラー病が起こる原因
私たちの体には、自律神経の働きによって体温を一定に保つ機能が備わっています。
しかし、冷房の効いた室内と暑い屋外を頻繁に行き来すると、この自律神経が過剰に働いてしまい、バランスが崩れてしまうのです。
すると、血行不良や体温調節機能の低下が起こり、さまざまな不調として体に現れます。
クーラー病の症状の種類
クーラー病は、主に「冷え型」「乾燥型」「自律神経失調型」の3つに分けられます。
・冷え型
冷えによって血行が悪くなり、手足の冷えやむくみ、肩こりなどの症状が出ます。
・乾燥型
エアコンの風で皮膚や喉、目が乾燥し、肌荒れやドライアイ、喉の痛みなどを引き起こします。
・自律神経失調型
温度差によるストレスで自律神経が乱れ、だるさ、頭痛、不眠、イライラなどの症状が出ます。
クーラー病の発生部位ごとの特徴
体の冷えが原因で、不調が特定の部位に現れることがあります。
・首、肩
血行不良により、肩や首の筋肉がこわばり、肩こりや首こりの原因になります。
・お腹
内臓が冷えることで、消化機能が低下し、腹痛や下痢を引き起こしやすくなります。
・足
冷気は下にたまりやすいため、特に足元が冷えやすく、むくみや冷えの原因になります。
クーラー病が引き起こす主な疾患
クーラー病そのものが病気というわけではありませんが、その症状が他の疾患と重なることがあります。
例えば、自律神経の乱れがひどくなると自律神経失調症に近い状態になることもありますし、冷えからくる頭痛は片頭痛と間違われることもあります。
クーラー病を和らげるために自分でできる対処法は?
まずはご自宅でできる簡単な対策を試してみましょう。
エアコンの温度調整: 外気温との差が5℃以内になるように設定するのが理想です。難しければ、設定温度を28℃くらいにしてみましょう。
体を冷やさない工夫: カーディガンやひざ掛け、腹巻などを活用して、冷たい空気が直接体に当たらないようにしましょう。
温かいものを摂る: 冷たい飲み物や食べ物を避け、温かいスープや飲み物を意識して摂るようにしましょう。
入浴: シャワーで済まさずに、ぬるめのお湯にゆっくりと浸かることで、体の芯から温まり、自律神経のバランスを整える効果が期待できます。
適度な運動: ウォーキングやストレッチなどの軽い運動で血行を良くし、冷えにくい体を目指しましょう。
受診をした方が良い場合は?
自己対処をしても症状が改善しない場合や、以下のような症状がある場合は、医療機関の受診をおすすめします。
強い頭痛や吐き気がある
めまいや立ちくらみが頻繁に起こる
倦怠感がひどく、日常生活に支障が出ている
原因不明の腹痛や下痢が続いている
女性の場合は、生理不順がひどくなった
どのような治療が行われるの?
診断は、問診と検査結果を総合的に判断して行います。
治療の中心は、生活習慣の改善や自律神経のバランスを整えるためのアドバイスです。
必要に応じて、症状を和らげるための内服薬を処方することもあります。
最後に…
夏の体調不良は「暑さのせい」と我慢しがちですが、実はクーラー病かもしれません。
早めの対策で、元気に夏を乗り切りましょう。
何か気になる症状があれば、いつでもお気軽に菊川内科皮膚科クリニックにご相談ください。
監修:俊爽会 理事長
日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医
日本内科学会 総合内科専門医 小林俊一