紫外線(エキシマ光)による皮膚疾患の治療

エキシマ光とは、紫外線の中でも波長308nmに限定された人工の光です。小型の光源で患部だけに部分照射し(ターゲット療法と呼びます)、免疫抑制力を活用する治療法です。ステロイド外用薬や外用薬では改善しない程過剰な免疫反応を起こした尋常性乾癬や、アトピー性皮膚炎の治療に活用されます。

  • (1)尋常性白斑に対する治療 ⇒ 白い部分に色素の再生をもたらす
  • (2)尋常性乾癬の治りにくい部位 ⇒ 硬さ・赤み・かゆみを減らす
  • (3)掌蹠膿疱症 ⇒ 水疱や膿疱が出にくくなる
  • (4)アトピー性皮膚炎の治りにくい部位 ⇒ かゆみを減らす、硬さが減る
  • (5)円形脱毛症⇒ 脱毛の抑制、うぶ毛が再生してくる
  • (6)その他のかゆい皮膚疾患 ⇒ かゆみを減らす
    ※(1)~(4)までは保険診療上『中長波紫外線療法』となり3割負担の場合1回で1000円程の金額になります。

なぜこのように色々な疾患に対して効果があるのか。

紫外線B領域の308~311nmにはいくつもの多彩な作用があることが確認されています。免疫細胞の1種である肥満細胞を抑制し痒みのもととなるヒスタミンを放出させない、行き過ぎた免疫を起こすリンパ球を抑制する、コラーゲンをつくる線維芽細胞に余分な線維を作らせない、色素細胞(メラノサイト)を刺激し、メラニンを増やすなど実に様々で、まだ完全に解明されていない部分も多い分野です。特に308nmには、かゆみ神経が無駄に伸びた枝である表皮内神経を1~2時間で変性させる働きが解明されました。少ない照射量でも比較的早く(当日中)に痒みが減ることが特徴的で、外用治療でなかなか治らない部位に効果を発揮します。

★いずれも1か所への照射時間は数秒、長くても30秒を超えることはまずありません。長い時間照射すると、皮膚が赤くなり色素沈着を起こすため、短い時間から開始して、少しずつ照射の時間を増やしながら確認していきます。

まとめ

  • 紫外線エキシマ光は種々の治りにくい皮膚疾患に有効です。
  • かゆみなどは1回の照射で良くなることもあります。
  • 白斑や乾癬等、症状により定期的な照射が数十回単位で必要になります。
  • 照射が強すぎると赤みや色素沈着を起こしてしまう場合がございますので、都度照射後の皮膚の状態を確認しながら照射量を調節して行います。
  • 子供や妊娠中の女性は受けられません。

紫外線治療を受ける方へ

1 紫外線治療の有効性とリスクについて

紫外線治療は、患部に紫外線を照射して、免疫反応や細胞の病的バランスを是正することによって疾患を治療する方法です。
この治療は、尋常性白斑、乾癬、アトピー性皮膚炎、円形脱毛症など種々の皮膚疾患に有効とされています。リスクとして照射が強すぎると日焼け(赤み・ひりひり・ほてり)や色素沈着を起こしたり、原疾患の一時的な悪化を招くといった副反応や障害が起こる可能性があります。また、長期にわたり照射を繰り返した場合には、慢性紫外線皮膚変性(しわ、しみ、乾燥など)や白内障、紫外線照射部位に皮膚がんの発症の可能性があるとの指摘もあります。
このため、紫外線の照射回数や量を疾患の部位や症状に応じて調整し、リスクの軽減に努めております。中波長紫外線(308~312nm)は治療効率が高いため、治療回数や紫外線照射が少なくてすみます。過去の紫外線治療よりも紫外線発がんの危険は少ないと言われておりますが、リスクがゼロではないことをご理解ください。

2 紫外線治療の中止について

紫外線治療を受けている間、効果がないと感じたり、治療について不安や疑問を感じた場合は速やかにお申し出ください。患者様は自らの意志で治療を中止し、ほかの治療を選択することができます。また医師の側から中止を提案することもあります。

3 紫外線治療中の注意事項

紫外線治療を受けている間は、日常生活で強い日光を無計画にあびたりせず、海水浴や海外旅行で強い日光にあたる可能性が高い場合は医師のアドバイスを受けてください。日焼けサロンは治療中も治療後も利用を避けてください。治療中に皮膚に異常が生じたときは早めに医師にご相談ください。

菊川内科皮膚科クリニック TEL0120-979-893 お気軽にお問い合わせください 内視鏡検査専用TEL:0120-979-893
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