◆アレルギー性鼻炎が起こるワケ
<発症する仕組み>
①アレルギーの原因物質が鼻粘膜の肥満細胞を刺激
②肥満細胞はヒスタミンなどの化学物質を放出
③化学物質は神経や血管などに働きかける
アレルギーの原因物質(アレルゲン)が鼻から入ると身体の中に抗体がつくられ、鼻の粘膜表面にある肥満細胞につきます。
再びアレルゲンが入ると、抗体が反応して刺激を受け取り、肥満細胞からヒスタミンやロイコトリエンなどの化学物質が放出されて、神経や血管などに働きかけ、くしゃみ、鼻みず、鼻づまりなどを引き起こします。
アレルギー性鼻炎は、原因物質や好発次期により、通年生と季節性の2つのタイプに分けられます。
◆アレルギー性鼻炎の症状
<主な症状>
①くしゃみ、鼻みず、鼻づまり
②通年性のタイプは、気管支喘息やアトピー性皮膚炎など
③季節性のタイプは、眼やのど、皮膚の症状など
原則として、発作的に、繰り返し起こるくしゃみ、多量の鼻みず、鼻づまりが3大症状となります。
そのほか、眼や鼻のかゆみ、寒気や頭痛などを伴うことがあります。
また、通年性アレルギー性鼻炎と季節性アレルギー性鼻炎(花粉症)では、あわせて起こる症状に異なる特徴がみられます。
・通年性アレルギー性鼻炎であわせて起こる疾患・症状
→気管支喘息、アトピー性皮膚炎、眼アレルギー
・季節性アレルギー性鼻炎であわせて起こる疾患・症状
→眼やのど、皮膚の症状
◆アレルギー性鼻炎の原因
<通年性アレルギー性鼻炎の場合>
通年性アレルギー性鼻炎の原因多くは、ハウスダストやダニ(ヒョウヒダニ)です。
最近では、ペット(特にネコやイヌ)、ゴキブリのアレルギーなども見られます。
換気の悪い住宅、新建材、暖房、布製ソファ、カーペット、寝具類などは、清掃回数が少ないとダニとの接触が増えてしまします。
<季節性アレルギー性鼻炎の場合>
季節性アレルギー性鼻炎の原因のほとんどは、花粉です。
ハンノキ属(カバノキ科)、スギ、ヒノキ科、シラカンバ(カバノキ科)、イネ科、ブタクサ属、ヨモギ属(キク科)、カナムグラ(アサ科)など、季節や地域により1年を通して、様々な植物の花粉が飛散します。
どんな花粉が飛散するのか、あらかじめ知っておくことが大切です。
◆アレルギー性鼻炎の治療法
<主な治療法>
①原因物質(アレルゲン)の除去と回避
②薬物療法
③アレルゲン免疫療法(皮下免疫療法、舌下免疫)
④手術療法
アレルゲンの除去と回避は、最も大切であるので、できるだけ気を付けましょう。
薬物療法は、症状や年齢、ライフスタイルに合わせて行います。アレルギー性鼻炎は症状が多様であることから、複数の薬を併用することがよくあります。
アレルゲン免疫療法は、アレルゲンのエキスを体内に入れて、体質を変えていく方法で、2~3年以上の継続治療と注意深い観察が必要です。
手術療法は、薬物療法などで改善しない鼻づまりに対して行います。
◆原因物質(アレルゲン)の除去と回避
<通年性アレルギー性鼻炎 日常生活の改善ポイント>
①室内ダニの除去と回避のための掃除や除湿
②ネコやイヌなどのペットの状態を清潔に保ち、接触を避けること
ハウスダストやダニを除去するために、室内の掃除や寝具類の洗濯などが重要です。ダニを減らすため、除湿器を用いて室内の湿度を低く保ちます。
ペットのアレルギーに対しては、飼育しないことが一番ですが、難しい場合はペットを清潔に保ち、できるだけ接触を避けます。
<季節性アレルギー性鼻炎 日常生活の改善ポイント>
①花粉情報を利用して、吸入しないよう対策を立てること
②外出時はマスクを着用、帰宅時はうがいを励行
花粉情報を利用して飛散の多い時の外出を控えます。外出時はマスクを着用し、帰宅時はうがいをするなど、できるだけ花粉を吸入しないための対策を立てましょう。
◆気になる合併症
①副鼻腔炎
アレルギー性鼻炎により生じた鼻腔内の炎症などに伴い副鼻腔炎が合併すると、鼻づまりや鼻みずなどの症状が治りにくくなることがあります。
特に鼻づまりの症状が強くなると、副鼻腔炎の治療を同時に行う必要があります。
②気管支喘息
アレルギー性鼻炎と気管支喘息の合併は、特に小児に多く見られます。
両者は互いに影響を及ぼし合い、アレルギー性鼻炎が悪化すると気管支喘息も悪化します。
特に、スギ花粉飛散期に症状の悪化が知られているため、注意が必要です。
③アレルギー性結膜炎
アレルギー性結膜炎は、特に季節性アレルギー性鼻炎(花粉症)に合併するため、花粉症に伴い目の痒みや涙、充血、目やになどを生じることがあります。
花粉症の人は、コンタクトレンズを避けて、眼鏡をかけることが勧められます。
◆インペアード・パフォーマンスとは
抗ヒスタミン薬を服用すると、自分でも気づいていない集中力や判断力、作業能率の低下がみられる場合があります。
この状態を「インペアード・パフォーマンス」と呼びます。
「インペアード・パフォーマンス」の状態では、眠気やだるさを自覚していなくても、自動車の運転が不安定になったり、勉強や仕事への集中力が低下している場合があります。
これは、抗ヒスタミン薬が脳内のヒスタミンの働きを抑えるために起こると考えられていますが、薬の種類や個人の体質によってその起こりやすさには差があります。
自動車の運転など、危険を伴う機械の操作に従事される方や、インペアード・パフォーマンスについて気になる方は、主治医または薬剤師にご相談件ください。
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都営新宿線菊川駅より徒歩2分、菊川内科皮膚科クリニックです。
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