「なんだか最近、咳が止まらない…」「夜になると息苦しくなる…」そんなお悩みはありませんか?
風邪かな?と思っても、なかなか治らないその症状、もしかしたら気管支喘息かもしれません。
喘息は「一度なったら一生治らない病気」と昔は言われていましたが、今は適切な治療で症状をコントロールし、健康な毎日を送ることができます。
このブログでは、気管支喘息について、皆さんが「なるほど、そうだったのか!」と感じていただけるよう、
身近な例を交えてわかりやすくお話ししていきます。ご自身やご家族、大切な方の健康のために、ぜひご一読ください。
気管支喘息とは?
気管支喘息とは、空気の通り道である「気道」が慢性的に炎症を起こし、敏感になる病気です。
健康な人の気道は、たとえるなら太く広々としたトンネルのようなもの。空気がスムーズに通ります。
しかし、喘息の人の気道は、アレルギー反応などによって常に少し腫れていて、敏感になっています。
そこにホコリや花粉、タバコの煙などの「刺激」が加わると、トンネルの壁がさらに分厚くなったり、周りの筋肉がぎゅっと縮こまったりして、空気が通れなくなってしまいます。
この状態が、喘息発作と呼ばれる「ゼーゼー、ヒューヒュー」という呼吸音(喘鳴)や、ひどい咳、息苦しさの原因となるのです。
症状の特徴
気管支喘息の代表的な症状には、以下のようなものがあります。
喘鳴(ぜんめい)
息をするときに「ゼーゼー」「ヒューヒュー」という高い音がする。
発作性の咳
夜間や早朝、明け方にひどくなることが多い。
息苦しさ
息を吐き出すのが辛く感じる。
胸の圧迫感
胸が締め付けられるような感じがする。
これらの症状は、風邪薬を飲んでもなかなか改善しないことが特徴です。
気管支喘息が起こる原因
喘息の原因は、主に「アレルゲン」と「非アレルゲン」の二つに分けられます。
アレルゲン(アレルギー性の原因)
ハウスダスト、ダニ、花粉、ペットの毛、カビなど。
これらが原因の場合は、アレルギー検査で何に反応しているかを知ることができます。
非アレルゲン(アレルギー以外の原因)
運動、風邪やインフルエンザなどのウイルス感染、タバコの煙、冷たい空気、大気汚染、ストレス、特定の薬など。
体質や遺伝も関係しているため、ご家族に喘息の方がいる場合は注意が必要です。
気管支喘息の種類
大きく分けて、以下の2種類があります。
アトピー型(アレルギー型)
子どもの喘息に多く、ダニやハウスダストなどのアレルゲンが原因で起こります。多くは成長とともに改善することがあります。
非アトピー型(非アレルギー型)
成人に多く、風邪やストレス、気候の変化などが引き金となります。
気管支喘息を引き起こす主な疾患
気管支喘息は単独で発症することもあれば、他の病気と関連していることもあります。
例えば、アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎、逆流性食道炎などが合併すると、喘息の症状が悪化することが知られています。
これらの病気の治療を同時に行うことで、喘息のコントロールが改善することもあります。
喘息を和らげるために自分でできる対処法は?
ご自宅でできる対策はたくさんあります。
アレルゲン対策
部屋の掃除をこまめに行い、ホコリやダニを減らす。
刺激を避ける
タバコの煙や強い香りのもの、冷たい空気に触れるのを避ける。
適度な運動
体調が良い時に無理のない範囲で体を動かす(※運動誘発喘息の場合は医師にご相談ください)。
ストレスをためない
十分な睡眠やリラックスできる時間を持つ。
しかし、これらの対処法はあくまで「症状の悪化を防ぐ」ためのもの。根本的な治療には、医師の診断と適切な薬が必要です。
受診をした方が良い場合は?
「もしかして?」と感じたら、迷わず医療機関を受診してください。
特に、以下のような場合は、すぐに専門医に相談することをお勧めします。
・夜間や早朝に咳や息苦しさで目が覚める。
・息をするときに「ゼーゼー」という音がする。
・風邪ではないのに咳が長く続く。
・動悸や胸の痛みを伴う。
「ただの咳だろう」と自己判断せず、専門家にご相談いただくことが、早期発見・早期治療の第一歩です。
台風シーズンに注意!気圧の変化と喘息の関係
この時期、台風が接近すると「喘息の症状が悪化する」というお声をよく耳にします。
これは、台風が持つ急激な気圧の変化が大きく関係していると考えられています。
気圧が下がると、人間の体も無意識にストレスを感じ、自律神経のバランスが乱れやすくなります。
これにより、喘息の発作が起こりやすくなったり、咳がひどくなったりすることがあるのです。
また、台風の湿気でカビやダニが増えることも、アレルギー性の喘息の方には悪影響となります。
台風が近づいてきたら、ご自身の体調管理にいつも以上に気を配り、もし症状が悪化した場合は早めにクリニックへご相談ください。
どのような検査が必要で、何を調べる?
当クリニックでは、問診で症状を詳しくお伺いした後、以下のような検査を行う場合があります。
呼吸機能検査
息を吸ったり吐いたりする強さや量を測り、気道の狭さを調べます。
血液検査
アレルギーの原因(アレルゲン)を特定するために行います。
これらの検査で、喘息のタイプや重症度を正確に診断します。
どのような診断と治療が行われるの?
検査結果や症状に合わせて、適切な診断と治療計画を立てます。
治療の中心となるのは、気道の炎症を抑える「吸入ステロイド薬」や、発作を止める「気管支拡張薬」です。
これらの薬を吸入することで、直接気道に働きかけ、効果的に症状をコントロールします。
最近では、吸入器も扱いやすいものが増えていますので、安心してご使用いただけます。
また、「アレルゲン免疫療法」など、根本的な体質改善を目指す治療法もあります。
どのような診察が行われるの?
当クリニックでは、患者様一人ひとりに寄り添った丁寧な診察を心がけています。
問診
いつから、どのような症状が出ているか、生活環境やお仕事、アレルギーの有無など、お話を聞かせていただきます。
身体診察
聴診器で肺の音を聞き、喘鳴がないか確認します。
治療計画の説明
検査結果や診断に基づいて、今後の治療方針や薬の使い方、注意点について、わかりやすく説明いたします。
ご不安なことがあれば、どんな些細なことでもお気軽にご相談ください。
最後に…
「ただの咳だろう」と我慢しているうちに、喘息の症状は悪化してしまうことがあります。
早期発見・早期治療が、喘息をコントロールし、発作のない快適な生活を送るための鍵となります。
当院では、内科はもちろん、消化器内科の専門的な診療も行っています。
最新の医療設備と温かいスタッフが、皆様の来院をお待ちしております。
「もしや?」と思ったら、まずは一度、お気軽にご相談ください。
監修:俊爽会 理事長
日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医
日本内科学会 総合内科専門医 小林俊一