胃痛・胸やけ・お腹の不調…
その症状、もしかして?
はじめに:消化器の不調、我慢していませんか?
「胃が痛い」「胸やけがする」「お腹の調子が悪い」──。
多くの方が一度は経験したことのあるこれらの症状。
実は、日常生活に潜む様々な病気のサインかもしれません。
消化器の不調は、放置するとQOL(生活の質)を低下させるだけでなく、重篤な病気の発見を遅らせる原因にもなりかねません。
このブログでは、菊川内科皮膚科クリニックの消化器内科でよく診察している代表的な病気について、その症状や原因、治療法、そして受診の目安を分かりやすく解説します。
ご自身の症状と照らし合わせながら、ぜひ最後までお読みください。
消化器とは?その役割と対象臓器
消化器は、私たちが食べたものを消化・吸収し、不要なものを体外へ排出する重要な役割を担う器官の総称です。
具体的には、口から食道、胃、十二指腸、小腸、大腸、そして肝臓、胆のう、膵臓といった、消化・吸収に関わる様々な臓器が含まれます。
これらのどこか一つでも不調をきたすと、様々な症状が現れます。
消化器内科でよく診る病気
ここでは、菊川内科皮膚科クリニックの消化器内科で特に多くみられる代表的な病気をいくつかご紹介します。
1. 逆流性食道炎
どんな病気?
胃酸が食道に逆流し、食道の粘膜を刺激することで炎症が起きる病気です。
食道と胃の境目にある筋肉(下部食道括約筋)の働きが悪くなったり、胃酸が過剰に分泌されたりすることが原因で起こります。
主な症状
「胸やけ」「胃酸がこみ上げてくる感じ(呑酸)」「のどの違和感」「胸の痛み」「慢性的な咳」などが特徴的です。
食後に悪化しやすい傾向があります。
原因
脂肪分の多い食事、食べ過ぎ、早食い、食後すぐに横になる、肥満、ストレスなどが挙げられます。
治療法 胃酸の分泌を抑える薬(プロトンポンプ阻害薬など)の服用が中心です。食事内容や生活習慣の改善も非常に重要です。
2. 胃炎・胃潰瘍
どんな病気?
胃炎: 胃の粘膜に炎症が起きている状態です。
急性と慢性があり、慢性胃炎はさらにいくつかのタイプに分類されます。
胃潰瘍: 胃の粘膜が深く傷つき、粘膜の一部が欠損してしまう状態です。ひどい場合は胃壁に穴が開くこともあります。
主な症状
胃炎: 「みぞおちの痛み」「胃もたれ」「吐き気」「食欲不振」など。
胃潰瘍: 「みぞおちのキリキリとした痛み(特に空腹時や夜間)」「吐血」「黒い便(タール便)」など、より強い症状が現れることがあります。
原因
ヘリコバクター・ピロリ菌感染、非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAIDs)の長期服用、ストレス、喫煙、過度の飲酒などが主な原因です。
治療法
ピロリ菌がいる場合は除菌治療を行います。胃酸を抑える薬や粘膜を保護する薬を服用し、症状の緩和と粘膜の修復を促します。
3. 過敏性腸症候群(IBS)
どんな病気?
大腸に炎症や潰瘍などの器質的な異常がないにもかかわらず、「下痢」や「便秘」、または「下痢と便秘の繰り返し」といった便通異常とお腹の痛み・不快感が慢性的に続く病気です。
主な症状
「腹痛」「腹部の膨満感」「下痢」「便秘」などが特徴的で、これらの症状が排便によって軽くなる傾向があります。
ストレスや緊張で症状が悪化しやすいのも特徴です。
原因
消化管の運動異常や知覚過敏、自律神経の乱れ、精神的ストレスなどが複雑に絡み合っていると考えられています。
治療法
症状に応じた薬(整腸剤、下痢止め、便秘薬、消化管運動改善薬など)の服用が中心です。
食事内容の見直し、ストレスマネジメント、生活習慣の改善も非常に重要です。
4. 大腸ポリープ・大腸がん
どんな病気?
大腸ポリープ: 大腸の粘膜にできるイボ状の盛り上がりの総称です。
腺腫性ポリープと呼ばれる一部のポリープは、放置すると大腸がんへ進行する可能性があります。
大腸がん: 大腸の粘膜から発生する悪性の腫瘍です。
早期発見・早期治療が非常に重要です。
主な症状
早期には自覚症状がほとんどないことが多いです。
進行すると「血便」「便が細くなる」「便秘と下痢を繰り返す」「腹痛」「お腹の張り」「貧血」「体重減少」などが現れることがあります。
原因
食生活の欧米化(高脂肪・低食物繊維食)、運動不足、肥満、喫煙、過度の飲酒、遺伝などがリスク要因として挙げられます。
治療法
内視鏡によるポリープ切除が一般的です。
がんが見つかった場合は、進行度合いに応じて内視鏡治療、手術、化学療法、放射線治療などを組み合わせます。
重要なこと
大腸がんは、早期発見・早期治療によって治癒する可能性が高い病気です。
症状がなくても、40歳を過ぎたら定期的な大腸がん検診(便潜血検査など)や、必要に応じた大腸内視鏡検査を受けることが非常に重要です。
まとめ:消化器の健康は、全身の健康の源
消化器は、私たちが生きていく上で欠かせない栄養を取り込む重要な器官です。
消化器の健康は、全身の健康に直結すると言っても過言ではありません。
「これくらいなら大丈夫だろう」と症状を我慢したり、市販薬でごまかしたりせず、不調を感じたらまずは専門医にご相談ください。
菊川内科皮膚科クリニックでは、患者様一人ひとりの症状に真摯に向き合い、適切な検査と治療をご提案いたします。
消化器のことで気になることがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。
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監修:俊爽会 理事長
日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医
日本内科学会 総合内科専門医 小林俊一