きくクリブログ

2025.06.12更新

疥癬について

★疥癬(かいせん)とは?
疥癬とは、ヒゼンダニ(疥癬虫)という非常に小さなダニが皮膚に寄生することで起こる感染症です。肉眼ではほとんど見えないダニですが、皮膚の角質層にトンネルを掘って寄生し、産卵することで強いかゆみなどの症状を引き起こします。

人から人へ感染する病気で、主に「通常疥癬」と「角化型疥癬(ノルウェー疥癬)」の2つのタイプがあります。

 

症状
疥癬の主な症状は激しいかゆみと皮膚の発疹です。特に夜間、体が温まるとかゆみが強くなるのが特徴です。


1.通常疥癬(つうじょうかいせん)
◌ かゆみ

夜間に特に強くなる激しいかゆみがあります。

◌ 皮 疹

①疥癬トンネル: メスのヒゼンダニが皮膚の角質層に掘った、数mmから1cm程度の灰白色の線状の盛り上がりです。指の間、手首の内側、肘、脇の下、下腹部、陰部、太ももの内側など、皮膚の柔らかい部分によく見られます。

②紅色丘疹(こうしょくきゅうしん): 赤いブツブツが体や四肢に散発します。
③結節(けっせつ): 陰部や脇の下、肘などにやや硬いしこりのようなものができることがあります。


2.角化型疥癬(かくかがたかいせん)(ノルウェー疥癬)
通常疥癬よりも非常に多くのヒゼンダニが寄生する重症型です。免疫力が低下している高齢者や病気の方に多く見られます。

◌ かゆみ

かゆみが軽度であることもありますが、非常に強い場合もあります。

◌ 皮 疹

全身の皮膚が厚くなり、フケのようにボロボロと角質が剥がれ落ちる(落屑)のが特徴です。頭や顔を含め全身に及ぶこともあります。この剥がれ落ちた角質の中には、大量のヒゼンダニが含まれており、感染力が非常に強いです。

 

原因
疥癬の原因は、ヒゼンダニ(疥癬虫)というダニが皮膚に寄生することです。
主な感染経路は3つあります。


1.直接接触感染
最も一般的な感染経路です。皮膚と皮膚が長時間直接触れることで、ダニが移動して感染します。例えば、寝具を共有する、手をつなぐ、抱き合うなどの密な接触が挙げられます。短時間の接触では感染しにくいとされています。
性的接触によって感染することもあります。


2.間接接触感染
患者さんが使用した寝具、衣類、タオルなどを共有することで感染することもありますが、通常疥癬では比較的まれです。


3.角化型疥癬の場合
感染力が非常に強いため、患者さんの皮膚から剥がれ落ちた角質(落屑)に触れ
るだけでも感染する可能性があります。そのため、短時間の接触や、寝具、衣
類、床などに残ったダニを介しても容易に感染が広がります。高齢者施設や病院
などで集団感染の原因となることがあります。
ヒゼンダニは乾燥に弱く、人の体から離れると数時間で感染力が低下します。また、50℃以上の熱で10分程度で死滅します。


治療法
疥癬は自然治癒することはほとんどなく、適切な治療が必要です。治療には内服薬と外用薬があります。

 

治療期間と経過

通常疥癬の場合、しっかりと治療すれば2週間から1ヶ月程度で症状が軽快し、終息することが多いです。
角化型疥癬の場合、ダニの数が非常に多いため、より長期間の治療(約2ヶ月程度)が必要となることがあります。
治療後も、かゆみや発疹がしばらく残ることがありますが、これはダニの死骸や排泄物に対するアレルギー反応であることが多く、心配ありません。しかし、再発の可能性もあるため、治療後も数ヶ月は皮膚の状態を注意深く観察し、医師の指示に従ってフォローアップを受けることが重要です。

 

予防法
疥癬の予防は、感染を広げないために非常に重要です。
1.早期診断と早期治療
かゆみなどの症状が見られたら、早めに皮膚科を受診し、診断と治療を開始することが最も重要です。

 

2.接触を避ける
患者さんとの長時間の肌の直接接触は避けましょう。
寝具、衣類、タオルなどの共有は避け、個別に管理しましょう。特に、パジャマや下着など、肌に直接触れるものは毎日交換することが望ましいです。

 

3.環境整備(特に角化型疥癬の場合)
個室での管理
角化型疥癬の患者さんの場合、感染力が非常に強いため、可能であれば個室で過ごしてもらうことが望ましいです。

 

◌ 衣類・寝具の洗濯・熱処理
患者さんが使用した衣類、シーツ、タオルなどは毎日交換し、50℃以上のお湯に10分以上浸すか、乾燥機にかけるなどして熱処理をしてから洗濯しましょう。洗濯できないものは、ビニール袋に入れて数日間密封しておくことでダニが死滅します。

◌ 掃 除
居室を中心に掃除機で丁寧に掃除しましょう。特に寝具やマットは念入りに掃除機をかけ、剥がれ落ちた角質を除去することが大切です。

◌ 入 浴
患者さんは毎日入浴し、厚くなった角質を優しくこすり落としましょう。入浴は家族の中で最後にするなど、他の人への感染を防ぐ工夫も有効です。浴槽や洗い場は使用後に水で流し、清掃しましょう。


◌ ケア時の感染対策
角化型疥癬の患者さんのケアをする際は、予防着や手袋を着用し、感染拡大を防ぎましょう。

 

まとめ
疥癬は早期に発見し適切な治療と予防策を講じることで治癒が期待できる病気です。ご自身や周囲の方に疑わしい症状が見られた場合は、ためらわずに当院にご相談ください。一緒に根気強く治療していきましょう。

 

 

都営新宿線菊川駅より徒歩2分、菊川内科皮膚科クリニックです。

 

【監修:俊爽会 理事長 小林俊一】

投稿者: 菊川内科皮膚科クリニック

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