百日咳(ひゃくにちぜき)とは
「百日咳菌」という細菌が原因で起こる呼吸器の感染症です。
原因と感染経路
百日咳菌という細菌が主な原因です。
飛沫感染:感染した人の咳やくしゃみに含まれる細菌が空気中に飛び、それを吸い込むことでうつります。
接触感染:手についた菌が口や鼻に入ることでも感染します。
症状の特徴
初めは風邪のような軽い咳や鼻水、微熱が出ます(カタル期)。
1〜2週間ほどで、特徴的な「発作的で連続する激しい咳」に変わります(痙咳期)。
咳の後に「ヒュー」という音を伴うことが多いです。
咳が強すぎて吐いてしまうこともあります。
咳は2〜3ヵ月(約100日)続くことがあり、これが「百日咳」という名前の由来です。
大人やワクチンを受けた人は、症状が軽く、長引く咳だけの場合もあります。
検査
百日咳の診断には、以下のような検査方法があります。
1. 遺伝子検査(PCR法・LAMP法)
百日咳菌の遺伝子を直接検出する方法です。
発症初期(咳が出てから1~3週間以内)に特に有効で、感度・特異度ともに高いのが特徴です。
PCR法は最短15分程度で結果が出ることもありますが、実施できる施設は限られています。
LAMP法は日本で一般的に使われており、数日で結果が判明します。
2. 血液検査(抗体検査)
百日咳菌に対するIgMやIgA、IgG抗体を測定します。
発症から2週間以降の診断に有用です。特にIgMは病日約15日、IgAは病日約21日でピークとなります。
抗体価が上昇していることで感染を判断します。単一血清での診断も可能です。
百日咳毒素(PT)に対するIgG抗体価が100EU/mL以上であれば、最近(4週間以内)の感染の指標となります。
3. 培養検査
鼻や咽頭から採取した検体を培養し、百日咳菌を直接分離します。
特異度は高いですが、感度は低く、特に発症から時間が経過した場合や抗菌薬投与後は検出が難しくなります。
治療と注意点
抗菌薬(マクロライド系抗生物質)が有効です。特に早い段階で治療を始めると、症状の悪化や周囲への感染を防ぎやすくなります。
咳止めや去痰剤などで症状を和らげる治療も行います。
乳児や高齢者は重症化しやすいので、早めの受診が大切です。
予防方法
百日咳ワクチン(DPTワクチン、DPT-IPVワクチン)が有効です。定期接種で予防できます。
ただし、ワクチンの効果は年数とともに弱まるため、大人でも再感染することがあります。
生活上の注意
咳が激しい場合や、呼吸が苦しい場合はすぐに受診してください。
百日咳と診断された場合、学校や保育園は「咳が治まるまで」または「抗菌薬を5日間使い終わるまで」出席停止となります。
百日咳は、特に乳児や高齢者では重症化することもあるため、長引く咳がある場合は早めにご相談ください。ワクチン接種や手洗い、咳エチケットなどで予防も心がけましょう。
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【監修:俊爽会 理事長 小林俊一】