◎アトピー性皮膚炎とは?
アトピー性皮膚炎は、かゆみを伴う湿疹が良くなったり悪くなったりを繰り返す、慢性の皮膚疾患です。乳幼児期に発症することが多く、成長とともに自然に治ることもありますが、大人になっても症状が続く場合があります。
・原因と病態
アトピー性皮膚炎の主な原因は、以下の3つが複雑に絡み合っていると考えられています。
①皮膚のバリア機能の低下:
皮膚の表面には、外部からの刺激や異物の侵入を防ぐバリア機能があります。アトピー性皮膚炎の方では、このバリア機能が低下しており、刺激物質やアレルゲンが皮膚に侵入しやすくなっています。
②アレルギー体質:
ダニ、ハウスダスト、食物などのアレルゲンに対して、過剰な免疫反応を起こしやすい体質です。
③遺伝的要因:
ご家族にアトピー性皮膚炎の方がいる場合、発症リスクが高くなることがあります。
これらの要因が重なることで、皮膚に炎症が起こり、かゆみや湿疹などの症状が現れます。
・症状
主な症状は、かゆみを伴う湿疹です。湿疹は、赤み、ブツブツ、ジュクジュク、カサカサなど、様々な形態で現れます。症状が現れやすい部位は、年齢によって異なります。
・乳幼児期:顔、首、肘や膝の内側など
・小児期:首、肘や膝の内側、手足など
・成人期:首、肘や膝の内側、背中、胸など
かゆみが強いと、かきむしってしまうことがあります。
かきむしると、皮膚のバリア機能がさらに低下し、症状が悪化するという悪循環に陥ることがあります。
・検査
アトピー性皮膚炎の診断は、主に問診と視診で行います。必要に応じて、以下の検査を行うことがあります。
アレルギー検査:血液検査や皮膚テストでアレルゲンを特定します。
皮膚生検:皮膚の一部を採取し、顕微鏡で詳しく調べます。
・治療法
アトピー性皮膚炎の治療は、症状の程度や年齢に合わせて、薬物療法とスキンケアを中心に、以下のような方法を組み合わせて行います。
①薬物療法
・ステロイド外用薬:炎症を抑え、かゆみを和らげます。
・タクロリムス外用薬、デルゴシチブ外用薬:ステロイド外用薬の効果が不十分な場合や、副作用が心配される場合に使用します。
・抗ヒスタミン薬:かゆみを抑えます。
・生物学的製剤:重症のアトピー性皮膚炎に使用します。
②スキンケア
・保湿剤:皮膚のバリア機能を補い、乾燥を防ぎます。
・清 潔:汗や汚れを洗い流し、皮膚を清潔に保ちます。
③悪化要因の除去
・アレルゲンの除去:ダニ、ハウスダスト、食物などのアレルゲンをできるだけ除去します。
・刺激物の回避:刺激の強い石鹸や化粧品、衣類などを避けます。
・食生活での注意点
アトピー性皮膚炎の方は、特定の食物アレルギーを持っていることがあります。アレルギー検査でアレルゲンが特定された場合は、その食物を避けるようにしましょう。
また、バランスの取れた食生活を心がけ、腸内環境を整えることも大切です。
・日常生活での注意点
・十分な睡眠:睡眠不足は、皮膚のバリア機能を低下させ、症状を悪化させることがあります。
・ストレスの軽減:ストレスも、アトピー性皮膚炎の悪化要因となります。リラックスできる時間を作り、ストレスを解消しましょう。
・適切な室温・湿度:乾燥した空気は、皮膚のバリア機能を低下させます。加湿器などを使用して、適切な室温・湿度を保ちましょう。
・衣類:綿など、肌に優しい素材の衣類を選び、締め付けの少ないものを着用しましょう。
・最後に
アトピー性皮膚炎は、根気強く治療を続けることが大切です。症状が良くなったり悪くなったりを繰り返すことがありますが、焦らずに、医師と相談しながら治療を進めていきましょう。
都営新宿線菊川駅より徒歩2分、菊川内科皮膚科クリニックです。
【監修:俊爽会 理事長 小林俊一】