きくクリブログ

2022.11.07更新

植物かぶれについて、よくある質問をまとめました。

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Q.植物かぶれはなぜ起こるの?

A.かぶれは接触性皮膚炎といって、触れたものの刺激から起こる皮膚の炎症です。

 ウルシなどにかぶれると、皮膚に赤い斑点が出来強い痒みを感じます。

 ①刺激性接触皮膚炎…洗剤の原液のような強い刺激の成分に触れて起きる皮膚炎や、水仕事での主婦湿疹のように一度の接触では何ともないが弱い刺激を反復することで炎症を起こしてできる皮膚炎があります。

 ②アレルギー性接触皮膚炎…その物質に対してアレルギーのある人だけが過敏反応を起こして皮膚炎を作ります。植物かぶれの多くはアレルギー性接触ですから、同じ植物に誰が触っても異常を起こすというわけではありません。

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Q.アレルギーの謎。アレルギーとは?

A. アレルギーという言葉は元々は「普通と違った」「変わっている」という意味で、一般には普通と違った体質の人に起こる現象とされています。抗原(アレルギーを起こす物質)と抗体(抗原に対して体内に作られた物質)の反応からおき、免疫反応と同じ仕組みですが、

 アレルギーは過敏反応によって自分の身体にマイナスの作用を及ぼします。かぶれ(接触皮膚炎)の場合、リンパ球の表面に抗体に相当する抗原受容体(Tリンパ球受容体と呼ばれています)があり、抗原と反応します。このようなリンパ球を持っている人に症状が現れてくるのです。

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Q.野外で皮膚炎を起こす植物は?

A.植物かぶれの代名詞のようなウルシですが、実際には野外のものはそう多くはありません。野外で一番注意しないといけないのは、毒性の強いツタウルシです。イチョウでは種子(ぎんなん)の周りの悪臭のある部分でかぶれを起こします。

 イラクサ、マムシグサ、センニンソウなどはアレルギー性ではなく、刺毛や液汁に刺激物質を含んでいます。

 ウルシ(ウルシ科)…乳液を塗料とすため栽培される。かぶれる植物の代表。

 ツタウルシ(ウルシ科)…つる性で秋に紅葉する。野外の多く、毒性が強いので注意。

 ハゼノキ(ウルシ科)…暖地に野生するが、紅葉を見るために庭にも植える。

 イチョウ(イチョウ科)…種子(ぎんなん)の周りの悪臭のある部分でかぶれる。

 カクレミノ(ウコギ科)…よく庭木にされる。伐るときにおが屑が体に付かないように。

 イラクサ(イラクサ科)…植物体の表面に毒の入った毛があり、液汁が皮膚に付くと水疱が出来る。

 マムシグサ(サトイモ科)…林の下に多い。口に含むと粘膜に激しく作用する。

 センニンソウ(キンポウゲ科)…山野に多いつる性の草。液汁が皮膚に付くと水疱ができる。

 ウマノアシガタ(キンポウゲ科)…道端に見られる。作用はセンニンソウと同じ。

 ナツトウダイ(トウダイグサ科)…山野に見られる。切り口から出る白い乳液でかぶれる。

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Q.庭園で皮膚炎を起こす植物は?

A.園芸栽培の植物の中にも、注意の必要なものがあります。いわゆるサクラソウ皮膚炎の原因となるのがトキワザクラです。キクやアネモネ、スイセンといったお馴染みの花も植物かぶれの原因となることがあります。ディフェンバキアのようなサトイモ科の植物は粘膜に対する 刺激性が強いので口に入れたりしないよう気を付けてください。

 トキワザクラ(サクラソウ科)…通称オプコニカ。手入れの際、素手で植物に触らないように。

 キク(キク科)…栽培者、花屋の従業者などに職業性皮膚炎がおきる。

 アルストロメリア(アルストロメリア科)…ブーケなどに人気のある花。職業性皮膚炎の原因の原因となる。

 スイセン(ヒガンバナ系)…野生もあるが、普通に栽培される。ときに皮膚炎を起こす。

 アネモネ(キンポウゲ科)…センニンソウと同じ成分を含むので、汁を身体につけない事。

 ハツユキソウ(トウダイグサ科)…葉を鑑賞する植物である。切り口からでる乳汁でかぶれる。

 ハナキリン(トウダイグサ科)…温室に見られる植物。ハツユキソウと同じ成分を含む。

 ディフェンバキア(サトイモ科)…茎を口に入れると口腔内が激しい炎症を起こす。

 キダチアロエ(ユリ科)…多肉植物。ときに葉の汁やその製品。

  サボテン(サボテン科)…特にオプンティア属のものは抜けやすい繊細な刺を持つ。

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Q.台所で皮膚炎を起こす植物は?

A.植物かぶれは、野外活動や庭いじりの後だけとは限りません。頻度は多くありませんが、意外に身近なところで出くわすことがあります。

マンゴー、パイナップル、キウイフルーツなどの果物やミツバ、レタス、シソ、ニンニクなどの野菜が原因となることがあります。仕事上で大量に扱う人の場合がほとんどで、一般の家庭ではまれな為、洗剤かぶれとよく間違われます。特にセロリは腐った部分を皮膚に付けないようにしましょう。

 マンゴー(ウルシ科)…口の周りに果汁を付けない事。漆にかぶれる人は要注意。

 パイナップル(パイナップル科)…果実の中に蛋白分解酵素と多数の針状結晶がある。

 キウイフルーツ(マタタビ下科)…果実中に多数の針状結晶があり、指や口唇に炎症を起こす。

 セロリ(セリ科)…腐った部分が皮膚に付いたのち日光に当たると炎症を起こす。

 ミツバ(セリ科)…栽培が盛んである。選別、包装従事者に皮膚炎が起きる。

 レタス(キク科)…切り口から出る乳汁により職業性の皮膚炎を起こす。

 シソ(シソ科)…栽培地で職業性皮膚炎を起こす。香りの成分が原因である。

 ニンニク(ユリ科)…液汁により栽培家や主婦などに皮膚炎が見られる。

 タマネギ(ユリ科)…ニンニクと似ているが、原因物質が同じかどうかは不明。

 ナガイモ(ヤマノイモ科)…針状結晶と、その他の成分が皮膚炎を起こす。

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Q.その他、身の回りで皮膚炎を起こす植物は?

A.漬物は、葉緑素の分解物により日光皮膚炎を起こす事があります。香辛料、生薬、精油などの植物からの加工品にも要注意です。漆細工は塗って1年以上のものなら大丈夫です。材木による皮膚炎は、製材所や木工所で大量のおがくずや削りかすによって起きるもので、

一般家庭ではまず問題ありません。

 ケヤキ(ニレ科)…製材、加工業者に皮膚炎が見られる。一般には心配ない。

 ベイスギ(ヒノキ科)…北米から輸入される材木で、しばしば皮膚炎を起こす。

 チーク(クマツヅラ科)…熱帯から輸入される。材木の加工業者に皮膚炎が起きる。

 漬物…葉緑素の分解物により、日光皮膚炎になることがある。

 精油…濃厚な精油を直接皮膚に付けないように注意。

 漆細工…塗って1年以上経ったものは皮膚炎を起こさない。

 松脂…複写機のトナー、スポーツのすべり止めに使われている。

 

 

【植物かぶれを起こしたら】

初めて目にすると思っている植物でアレルギーを起こすこともありますから野外活動を行う際は長袖を着用し、手袋も忘れず着用してください。もし、植物かぶれの原因になりそうな植物に触ったときは石鹸で綺麗に洗ってから水でよく洗い流してください。実際に炎症を起こしたら、患部を清潔にして赤く腫れて熱をもっているときは、氷嚢などで冷やしてください。掻きむしったり、自己判断で手元にある塗り薬ですませようとするのは禁物です。早めに皮膚科の専門医に診てもらい、かぶれの真犯人を突き止め適切な治療を受けましょう。

 

 

 

 

 

   

 

投稿者: 菊川内科皮膚科クリニック

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