胃腸炎について
2025.07.14更新
胃腸炎について
胃腸炎って何?
胃腸炎は、胃や腸の粘膜に炎症が起こることで、吐き気、嘔吐、下痢、腹痛などの症状を引き起こす病気の総称です。
主にウイルスや細菌の感染によって起こることが多いですが、食中毒や薬剤、アレルギーなどが原因となることもあります。
多くの場合、数日で自然に治りますが、脱水症状など注意が必要なケースもあります。
症状の特性
胃腸炎の主な症状は以下の通りです。
・吐き気・嘔吐
食べたものや胃液を吐いてしまうことがあります。特に感染初期に強く出やすい傾向があります。
・下痢
便が水っぽくなったり、回数が増えたりします。ときに血が混じることもあります。
・腹痛
お腹がゴロゴロ鳴ったり、差し込むような痛みを感じることがあります。
・発熱
原因によっては、微熱から高熱まで発熱を伴うことがあります。
・頭痛、倦怠感
全身の倦怠感や頭痛を伴うこともあります。
これらの症状は、原因となる病原体や個人の免疫力によって、その程度や出現の仕方が異なります。特に小さなお子さんや高齢の方では、脱水症状に注意が必要です。
胃腸炎が起こるきっかけ
胃腸炎は様々なきっかけで発生します。
・ウイルス感染
最も一般的な原因です。
ノロウイルス、ロタウイルス、アデノウイルスなどが代表的で、感染者の便や嘔吐物から排出されたウイルスが口に入ることで感染(経口感染)します。
また、汚染された食品(特に二枚貝など)からの感染もあります。
・細菌感染
カンピロバクター、サルモネラ、病原性大腸菌、腸炎ビブリオなどが原因となります。
主に生肉や加熱不十分な食品、汚染された水などを摂取することで感染します。
・寄生虫感染
クリプトスポリジウムやジアルジアなど、稀に寄生虫が原因となることもあります。
・薬剤性
抗生物質や特定の薬剤の副作用として胃腸炎に似た症状が出ることがあります。
・アレルギー
特定の食品に対するアレルギー反応として、胃腸炎症状が現れることがあります。
胃腸炎のタイプ
胃腸炎は、その原因や発症の仕方によって大きく2つのタイプに分けられます。
①急性胃腸炎
突然発症し、短期間で治癒するタイプです。
ウイルスや細菌による感染が主な原因で、いわゆる「お腹の風邪」と呼ばれることもあります。
②慢性胃腸炎
症状が数週間から数ヶ月以上続くタイプです。
感染症が原因で慢性化することは稀で、ストレス、生活習慣、特定の疾患(過敏性腸症候群、炎症性腸疾患など)が関与していることが多いです。
胃腸炎の発生部位ごとの特性
胃腸炎は、炎症が起こる部位によって症状の特性が異なります。
・胃炎(胃の炎症)
吐き気、嘔吐、上腹部痛が中心です。
・小腸炎(小腸の炎症)
下痢、腹部のゴロゴロ感(腹鳴)、けいれん性の腹痛が特徴的です。
水分や栄養の吸収障害が起こりやすく、脱水になりやすい傾向があります。
・大腸炎(大腸の炎症)
下痢(ときに血便)、下腹部痛、しぶり腹(排便後も便が残っているような不快感)が中心です。
多くの胃腸炎では、胃から腸にかけて広範囲に炎症が及ぶため、これらの症状が複合的に現れることがほとんどです。
胃腸炎を引き起こす主な疾患
胃腸炎の症状を呈する主な疾患には、以下のようなものがあります。
・感染性胃腸炎
ノロウイルス、ロタウイルス、サポウイルス、アデノウイルスなどのウイルスや、カンピロバクター、サルモネラ、病原性大腸菌、腸炎ビブリオ、黄色ブドウ球菌などの細菌によるものです。
・食中毒
毒素型(黄色ブドウ球菌、セレウス菌など)や感染型(サルモネラ、カンピロバクターなど)があり、汚染された食品を摂取することで発症します。
・薬剤性腸炎
特定の薬剤(抗生物質、NSAIDsなど)の使用によって、腸に炎症が起こる病気です。
・炎症性腸疾患
潰瘍性大腸炎やクローン病など、原因不明の慢性的な炎症が腸に起こる病気です。胃腸炎とは異なり、長期的な治療が必要となります。
・過敏性腸症候群
腸に明らかな異常がないにもかかわらず、ストレスなどで腹痛や下痢、便秘を繰り返す病気です。
胃腸炎を和らげるためセルフケアは?
胃腸炎の症状を和らげ、回復を早めるためには、自宅での適切なセルフケアが非常に重要です。
・十分な水分補給
嘔吐や下痢によって体から水分や電解質が失われるため、経口補水液などを少量ずつこまめに摂取し、脱水を予防することが最も重要です。
スポーツドリンクも有効ですが、糖分が多いものもあるため注意が必要です。
・消化に良い食事
胃腸に負担をかけないよう、消化の良いものを少量ずつ摂るようにしましょう。
おかゆ、うどん、すりおろしリンゴ、よく煮込んだ野菜などがおすすめです。脂っこいもの、香辛料の強いもの、冷たいもの、アルコール、カフェインなどは避けてください。
・体を休める
無理をせず、安静にして体力を回復させることが大切です。
・市販薬の利用
吐き気止めや整腸剤などの市販薬もありますが、自己判断での使用は避けて、薬剤師や医師に相談することをお勧めします。
特に下痢止め薬は、病原体の排出を妨げる可能性があるため、むやみに使用しない方が良い場合もあります。
受診するタイミングは?
多くの場合、胃腸炎は数日で自然に治まりますが、以下のような場合は医療機関を受診してください。
・激しい腹痛や嘔吐が続く
・血便や黒い便が出る
・38℃以上の高熱が続く
・脱水症状の兆候
・症状が改善しない、または悪化する
・乳幼児や高齢者、持病がある方
どのような検査が必要で、何を調べる?
医療機関では、症状や診察所見に応じて、以下のような検査を行うことがあります。
・便検査
症状や状況に応じて、便中のウイルスや細菌、寄生虫の有無を調べることがあります。
・血液検査
必要に応じて、炎症の程度や脱水の有無、肝臓や腎臓の機能などを確認することがあります。
・内視鏡検査
症状が長引く場合や、血便が続くなど他の重篤な疾患(炎症性腸疾患や腫瘍など)が疑われる場合には、胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)や大腸カメラ(下部消化管内視鏡検査)を検討することがあります。
これにより、直接胃や腸の粘膜の状態を観察し、必要に応じて組織を採取して病理検査を行うことで、より詳細な診断が可能です。
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どのような診断と治療が行われるの?
診断
主に問診と身体診察、必要に応じて便検査などから総合的に診断を行います。
多くの場合、症状の特徴からウイルス性胃腸炎と診断されることが多いです。
治療
胃腸炎の治療は、症状を和らげ、回復をサポートする対症療法が中心となります。
水分・電解質の補給: 脱水予防のため、経口補水液などでしっかり補給します。
症状を聞き、お薬が処方されることもあります。
どのような診察が行われるの?
内科クリニックでの診察では、主に以下のような流れで進みます。
問診
受付で記入された問診票を元に、医師が詳しく症状や経過、食歴、アレルギーの有無、既往歴、服用中の薬などを伺います。
身体診察
腹部の触診を行い、痛みのある場所や硬さ、お腹の音などを確認します。また、全身の状態(顔色、皮膚の乾燥具合など)から脱水の有無を評価します。
必要に応じた検査
医師の判断で、便検査や血液検査などを提案し、説明します。
診断と説明
診察や検査結果から病状を診断し、現在の状態や考えられる原因について詳しく説明します。
治療方針の説明と処方
症状を和らげるための薬の処方や、自宅での過ごし方、食事に関するアドバイスなど、治療方針を具体的に説明します。
再診の指示
必要に応じて、次回の受診の目安や、症状が悪化した場合の受診タイミングなどを伝えます。
最後に…
胃腸炎は、誰でもかかる可能性のある身近な病気です。
多くの場合、安静と水分補給で自然に回復しますが、症状が重い場合や長引く場合は、迷わず医療機関を受診してください。
特に小さなお子さんやご高齢の方、基礎疾患をお持ちの方は、重症化するリスクがあるため注意が必要です。
日頃からの手洗いの徹底や食品の適切な管理など、感染予防に努めることも大切です。
もし胃腸炎かな?と感じたら、無理せず早めにご相談ください。
都営新宿線菊川駅より徒歩2分、菊川内科皮膚科クリニックです。
監修:俊爽会 理事長
日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医 小林俊一
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