きくクリブログ

2025.08.29更新

 

じんましんとは

じんましん(蕁麻疹)は、突然皮膚に赤みや膨らみ(膨疹)が現れ、強いかゆみを伴う病気です。

多くは数時間以内に消え、跡は残りません。

原因や症状はさまざまですが、日常生活の中で比較的よくみられる皮膚疾患です。

多くの場合は命にかかわりませんが、まれに重症化することもあります。

 

症状の特性

じんましんの症状は、皮膚に急に現れる赤い膨らみと強いかゆみです。

膨疹は地図状に広がることもあり、数ミリから数センチまで大きさはさまざまです。

特徴的なのは、数時間以内に消えてしまうことです。掻くことで広がったり悪化したりすることもあります。

まぶたや唇、のどなど粘膜に症状が出ると、腫れや息苦しさを伴うことがあり、注意が必要です。

 

じんましんが起こるきっかけ

じんましんはさまざまなきっかけで発症します。

代表的なものには、特定の食べ物(魚介類、卵、乳製品、ナッツなど)、薬剤(抗生物質、解熱鎮痛剤など)、感染症、ストレス、疲労、物理的刺激(圧迫、摩擦、寒冷、日光など)、発汗や運動、アレルギー反応などがあります。

原因が特定できない場合も多く、その場合は「特発性じんましん」と呼ばれます。

 

じんましんのタイプ

じんましんは、発症の仕方や原因によっていくつかのタイプに分かれます。

急性じんましん

発症から1か月以内に治まるもの。多くは数日~1週間で治ります。

 

慢性じんましん

1か月以上、繰り返し症状が出るもの。原因不明なことが多いです。

 

物理性じんましん

皮膚への圧迫や摩擦、寒冷、温熱、日光などで起こるもの。

 

コリン性じんましん

発汗や運動、入浴などで体温が上がったときに現れる小さな膨疹。

 

アレルギー性じんましん

特定の食物や薬剤、虫刺されなどで発症します。

 

 

発生部位ごとの特性

じんましんは体のどこにでも発症しますが、まぶたや唇、のどなど粘膜に出る場合は特に注意が必要です。

のどや気道が腫れると呼吸困難を引き起こすことがあり、緊急対応が必要となります。

 

 

じんましんを引き起こす主な疾患

じんましんは単独で発症することもありますが、他の疾患が原因となる場合もあります。

代表的なものには、感染症(ウイルス、細菌、真菌)、自己免疫疾患(甲状腺疾患、膠原病)、内臓疾患(肝臓や腎臓の病気)、アレルギー疾患(気管支喘息、アトピー性皮膚炎)などがあります。

これらが関与している場合は、他の症状も伴うことが多いです。

 

 

セルフケアのポイント

じんましんの症状を和らげるためのセルフケアには、以下のような方法があります。

 

・かゆい部分を冷やす

・刺激の強い衣服や化粧品を避ける

・入浴はぬるめのお湯で短時間にする

・アルコールや香辛料など、血行を促進するものを控える

・ストレスや疲労をためない

・規則正しい生活を心がける

・原因と思われる食べ物や薬を控える

 

ただし、症状が強い場合や広範囲に及ぶ場合は、自己判断せずに医療機関を受診してください。

 

 

受診するタイミング

次のような場合は、早めに皮膚科を受診しましょう。

 

・じんましんが繰り返し出る、1週間以上続く

・顔やのど、口の中に腫れが出た

・息苦しさや声がれ、呼吸困難がある

・全身に広がる、発熱や倦怠感を伴う

・市販薬やセルフケアで改善しない

 

特に、呼吸困難や意識障害を伴う場合は、すぐに救急受診が必要です。

 

 

検査と診断

じんましんの診断は、基本的に問診と視診で行います。

必要に応じて、血液検査やアレルギー検査、皮膚テストなどを実施します。

検査は症状や経過、全身状態に応じて選択されます。

 

 

治療について

じんましんの治療は、抗ヒスタミン薬の内服が基本です。

症状が強い場合には、ステロイド薬や他の薬剤を併用することもあります。

原因が特定できれば、その除去や回避が重要です。

慢性じんましんの場合は、生活習慣の見直しやストレス管理も大切です。

 

 

診察の流れ

診察では、症状の経過や発症状況、既往歴、服用薬、生活習慣などについて詳しくお聞きします。

皮膚の状態を観察し、必要に応じて検査を行います。

原因が特定できる場合は、その説明と対策をお伝えします。

不安な点や気になることがあれば、遠慮なくご相談ください。

 

最後に
じんましんは多くの場合、適切な治療とセルフケアで改善します。しかし、重症化することもあるため、自己判断せず、気になる症状があれば早めに皮膚科を受診してください。当院では、患者さん一人ひとりの症状や生活背景に合わせた診療を心がけています。お困りの際は、どうぞお気軽にご相談ください。

 

~監修 医療法人社団 俊爽会 理事長 小林俊一~

投稿者: 菊川内科皮膚科クリニック

2025.08.25更新

 

 

クーラー病とは?

暑い夏にエアコンは欠かせないものですが、「クーラー病」という言葉を聞いたことはありますか?

正式な病名ではありませんが、冷房の効いた部屋と暑い外気との急激な温度差によって、私たちの体の調子が崩れてしまうことを指します。

自律神経のバランスが乱れることが主な原因です。

 

症状の特徴

クーラー病の症状は人によってさまざまですが、以下のようなものがよく見られます。

 

explosion手足の冷えやむくみ

explosionだるさや疲労感

explosion肩こり、頭痛、腰痛

explosionお腹の不調(腹痛、下痢、便秘)

explosion食欲不振

explosion風邪のような症状

 

クーラー病が起こる原因

私たちの体には、自律神経の働きによって体温を一定に保つ機能が備わっています。

しかし、冷房の効いた室内と暑い屋外を頻繁に行き来すると、この自律神経が過剰に働いてしまい、バランスが崩れてしまうのです。

すると、血行不良や体温調節機能の低下が起こり、さまざまな不調として体に現れます。

 

クーラー病の症状の種類

クーラー病は、主に「冷え型」「乾燥型」「自律神経失調型」の3つに分けられます。

 

・冷え型

冷えによって血行が悪くなり、手足の冷えやむくみ、肩こりなどの症状が出ます。

 

・乾燥型

エアコンの風で皮膚や喉、目が乾燥し、肌荒れやドライアイ、喉の痛みなどを引き起こします。

 

・自律神経失調型

温度差によるストレスで自律神経が乱れ、だるさ、頭痛、不眠、イライラなどの症状が出ます。

 

クーラー病の発生部位ごとの特徴

体の冷えが原因で、不調が特定の部位に現れることがあります。

 

・首、肩

血行不良により、肩や首の筋肉がこわばり、肩こりや首こりの原因になります。

・お腹

内臓が冷えることで、消化機能が低下し、腹痛や下痢を引き起こしやすくなります。

・足

冷気は下にたまりやすいため、特に足元が冷えやすく、むくみや冷えの原因になります。

 

クーラー病が引き起こす主な疾患

クーラー病そのものが病気というわけではありませんが、その症状が他の疾患と重なることがあります。

例えば、自律神経の乱れがひどくなると自律神経失調症に近い状態になることもありますし、冷えからくる頭痛は片頭痛と間違われることもあります。

 

クーラー病を和らげるために自分でできる対処法は?

まずはご自宅でできる簡単な対策を試してみましょう。

 

エアコンの温度調整: 外気温との差が5℃以内になるように設定するのが理想です。難しければ、設定温度を28℃くらいにしてみましょう。

 

体を冷やさない工夫: カーディガンやひざ掛け、腹巻などを活用して、冷たい空気が直接体に当たらないようにしましょう。

 

温かいものを摂る: 冷たい飲み物や食べ物を避け、温かいスープや飲み物を意識して摂るようにしましょう。

 

入浴: シャワーで済まさずに、ぬるめのお湯にゆっくりと浸かることで、体の芯から温まり、自律神経のバランスを整える効果が期待できます。

 

適度な運動: ウォーキングやストレッチなどの軽い運動で血行を良くし、冷えにくい体を目指しましょう。

 

受診をした方が良い場合は?

自己対処をしても症状が改善しない場合や、以下のような症状がある場合は、医療機関の受診をおすすめします。

explosion強い頭痛や吐き気がある

explosionめまいや立ちくらみが頻繁に起こる

explosion倦怠感がひどく、日常生活に支障が出ている

explosion原因不明の腹痛や下痢が続いている

explosion女性の場合は、生理不順がひどくなった

 

どのような治療が行われるの?

診断は、問診と検査結果を総合的に判断して行います。

治療の中心は、生活習慣の改善や自律神経のバランスを整えるためのアドバイスです。

必要に応じて、症状を和らげるための内服薬を処方することもあります。

 

最後に…
夏の体調不良は「暑さのせい」と我慢しがちですが、実はクーラー病かもしれません。

早めの対策で、元気に夏を乗り切りましょう。

何か気になる症状があれば、いつでもお気軽に菊川内科皮膚科クリニックにご相談ください。

 


監修:俊爽会 理事長 

日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医 

日本内科学会 総合内科専門医  小林俊一

投稿者: 菊川内科皮膚科クリニック

2025.08.22更新

「ひょうそ」とは?

「ひょうそ」という言葉、あまり聞きなれないかもしれません。

でも、爪の周りが赤く腫れて、ズキズキと痛んだり、膿が出たりする症状に心当たりのある方は多いのではないでしょうか?

「ひょうそ」は、医学的には「爪囲炎(そういえん)」や「化膿性爪囲炎(かのうせいそういえん)」と呼ばれ、爪の周りの皮膚に細菌が感染して炎症を起こす病気のことです。

特に、指先をよく使う方、手や足に小さな傷ができやすい方、甘皮のお手入れをする方などは、注意が必要です。

 

「ひょうそ」の症状の特徴

ひょうそは、症状の進行によって現れ方が変わります。

初期の段階では、爪の周りが少し赤くなり、軽い痛みを感じる程度です。

しかし、時間が経つにつれて以下のような症状が出てきます。

 

・爪の周りの赤みと腫れ

・ズキズキとした強い痛み

・患部を押すと白い膿が出てくる

・熱を持った感じ

 

ひどくなると、爪が変形したり、剥がれてしまったりすることも。

特に、膿が出始めたら炎症がかなり進んでいるサインです。早めの対処が大切になります。

 

 

「ひょうそ」が起こる原因

ひょうその主な原因は、爪の周りの小さな傷から細菌が侵入することです。

例には、こんなものがあります。

 

・甘皮の処理

ネイルケアで甘皮を無理に押し上げたり、切りすぎたりすると、皮膚が傷つきやすくなります。

 

・深爪

深く爪を切りすぎると、爪の周りの皮膚が傷つき、細菌が入り込む隙間ができます。

 

・ささくれ

爪の周りのささくれを無理に引っ張ったり、噛んだりする癖がある方は要注意です。

 

・外傷

突き指や転倒などで指先をぶつけた際、小さな傷ができることがあります。

 

これらの傷口から、黄色ブドウ球菌や連鎖球菌といった細菌が入り込み、炎症を引き起こすのです。

 

 

「ひょうそ」の種類

ひょうそには、急性と慢性の2種類があります。

 

急性ひょうそ

細菌感染が原因で、急激に症状が現れます。

ズキズキとした強い痛みや腫れ、膿が特徴です。

治療をすれば比較的早く治ります。

 

慢性ひょうそ

カビ(真菌)や特定の菌が原因で、症状がゆっくりと進行します。

腫れや赤みが長期間続き、治りにくいのが特徴です。

特に水仕事をされる方や、糖尿病などの持病がある方は注意が必要です。

 

「ひょうそ」の発生部位ごとの特徴

ひょうそは、手足の指、どの指にも起こる可能性があります。

特に多いのは、親指や人差し指です。

 

手の指

日常的に物を触ったり、作業をしたりすることが多いため、小さな傷ができやすく、ひょうそになりやすい傾向があります。

 

足の指

蒸れやすい靴を履いていると、細菌が繁殖しやすい環境になります。

また、巻き爪や爪の切り方が悪いと、ひょうそを引き起こすことがあります。

 

 

「ひょうそ」を和らげるために自分でできる対処法は?

症状が軽いうちであれば、ご自宅でできることがあります。

 

・清潔に保つ

患部を石鹸で優しく洗い、清潔な状態を保ちましょう。

 

・消毒

消毒液(アルコールやイソジンなど)で患部を消毒し、細菌の繁殖を防ぎます。

 

・保護

清潔なガーゼや絆創膏で患部を覆い、外部からの刺激や細菌の侵入を防ぎましょう。

 

ただし、これらの対処はあくまで応急処置です。

腫れや痛みがひどい場合、膿が出ている場合は、自己判断せず医療機関を受診してください。

 

 

どのような時に受診をした方が良い?

「ちょっとしたことだし…」と我慢してしまう方がいらっしゃいますが、以下のような症状が出たら、早めに皮膚科を受診しましょう。

 

・痛みが強く、日常生活に支障が出ている

・腫れが広がり、指全体が赤くなっている

・白い膿が出てきた

・熱が出たり、寒気がしたりする

・市販薬を試しても症状が改善しない

 

 

どのような検査が必要で、何を調べる?

当院では、まず医師が患部を丁寧に診察し、症状の程度を確認します。

 

視診

患部の赤み、腫れ、膿の状態を目で見て確認します。

 

触診

患部を軽く押して、痛みの有無や硬さを確認します。

 

細菌検査

膿が出ている場合は、その一部を採取し、原因となっている細菌の種類を特定します。

この検査によって、適切な抗生物質を選ぶことができます。

 

どのような診断と治療が行われるの?

診断の結果、ひょうそであることがわかった場合、症状の程度に合わせて治療法を提案します。

 

・軽度の炎症

抗生物質入りの塗り薬や、内服薬で炎症を抑えます。

 

・膿が溜まっている場合

必要に応じて、局所麻酔を行い、メスで皮膚を小さく切開し、溜まった膿を出す処置を行います。

この処置によって、痛みが劇的に和らぎ、治りも早くなります。

 

どのような診察が行われるの?

当院では、患者様の不安を和らげ、安心して治療を受けていただけるよう、丁寧な診察を心がけています。

 

問診

いつから症状が出たのか、どのような時に痛みを感じるかなど、詳しくお話を伺います。

 

視診・触診

患部の状態を細かく確認します。

 

治療方針の説明

診察の結果、どのような治療が必要か、治療期間はどれくらいかなど、わかりやすくご説明します。

 

ご不明な点や不安なことがあれば、どんなことでもお気軽にご質問ください。

患者様一人ひとりに寄り添い、最適な治療を提供できるよう努めています。

 

最後に…

「たかが爪の周りのこと」と軽視されがちなひょうそですが、放置すると重症化し、爪が変形したり、骨髄炎などの重い病気に繋がることもあります。

「あれ?これってどうなの?」と感じたら、迷わずご相談ください。

皆様の健康を、私たちが全力でサポートいたします。

 

都営新宿線菊川駅より徒歩2分、菊川内科皮膚科クリニックです。

 

~監修 医療法人社団 俊爽会 理事長 小林俊一~

 

投稿者: 菊川内科皮膚科クリニック

2025.08.15更新

アトピー性皮膚炎について


アトピー性皮膚炎とは

アトピー性皮膚炎は、「アトピー素因」をもった人に発症する、かゆみを伴う慢性の皮膚の炎症です。

「アトピー素因」とは、アレルギーを起こしやすい体質のことで、具体的には、以下のような特徴が挙げられます。

 

・家族やご自身にアレルギー疾患(ぜんそく、アレルギー性鼻炎、結膜炎など)がある

・IgE抗体(アレルギー反応に関わる抗体)を作りやすい体質

 

このアトピー素因に加え、様々な要因が複雑に絡み合い、皮膚のバリア機能が低下し、炎症が起こりやすい状態になります。

症状は、良くなったり悪くなったりを繰り返しながら、慢性的に続きます。

 

疫学

アトピー性皮膚炎は、世界中で患者数が増加している疾患です。

特に先進国での発症率が高く、日本では、小児の10~20%、成人の5~10%が罹患していると言われています。

乳幼児期に発症することが多いですが、近年では成人になってから初めて発症するケースも増えています。性差による大きな違いはありません。

季節によって症状に変化が見られることも多く、冬場は空気が乾燥することで悪化しやすく、夏場は汗をかくことでかゆみが増すことがあります。

このように、アトピー性皮膚炎は、その時の環境や体調に大きく左右される病気なのです。

 

原因
アトピー性皮膚炎の原因は、一つではなく、複数の要因が複雑に絡み合っています。


1. 皮膚のバリア機能の低下

私たちの皮膚は、外からの刺激や異物の侵入を防ぎ、体内の水分が蒸発するのを防ぐ「バリア機能」をもっています。

アトピー性皮膚炎の患者様の皮膚は、このバリア機能が低下していることが分かっています。

その原因の一つとして、フィラグリンというタンパク質が関わっています。

フィラグリンは、皮膚の角質層を形成する重要な成分ですが、アトピー性皮膚炎の患者様の中には、このフィラグリンを作る遺伝子に異常がある方がいることが分かっています。

フィラグリンが不足すると、皮膚の細胞同士の結びつきが弱くなり、スカスカの状態になってしまいます。

その結果、アレルゲン(ダニ、ほこり、花粉など)や刺激物質(汗、石鹸、洗剤など)が皮膚の奥に侵入しやすくなり、さらに、皮膚の水分が外に逃げやすくなるため、乾燥肌になりやすいのです。

 

2. 免疫機能の異常

アトピー性皮膚炎の患者様は、免疫機能に異常があり、アレルゲンに対して過敏に反応してしまいます。

通常は無害な物質であるダニやほこりに対しても、過剰な免疫反応が起こり、炎症を引き起こします。

 

3. 遺伝的要因

アトピー性皮膚炎は、遺伝的な要因が大きく関わっています。

両親のどちらか、または両方がアトピー性皮膚炎である場合、お子様が発症するリスクは高くなります。

 

4. 環境要因

環境要因もアトピー性皮膚炎の発症や悪化に影響を与えます。

 

・アレルゲン: ダニ、ほこり、ハウスダスト、花粉、ペットのフケなど

・刺激物質: 汗、乾燥、紫外線、衣類の摩擦、石鹸、洗剤、シャンプーなど

・ストレス: 精神的なストレスは、かゆみを増幅させ、症状を悪化させることがあります。

・食生活: 特定の食物がアレルゲンとなり、症状を引き起こすこともあります。

 

これらの要因が複合的に作用し、皮膚のバリア機能が破綻し、かゆみと炎症の悪循環に陥るのです。

 

診断

アトピー性皮膚炎の診断は、主に問診と視診によって行われます。

診断のポイントは以下の通りです。

 

・かゆみがあること
・皮膚炎が慢性的(乳児では2ヶ月以上、その他では6ヶ月以上)に続いている、または繰り返していること
・皮膚炎の分布や特徴(左右対称性、年齢による特徴的な皮疹)
・アトピー素因(家族歴や既往歴)の有無

 

これらの基準を総合的に判断して診断を下します。血液検査でIgE抗体の値や、特定のアレルゲンに対するIgE抗体を調べることがありますが、これはあくまで補助的な診断です。

 

治療

アトピー性皮膚炎の治療は、「悪化要因を取り除くこと」と「皮膚の炎症を抑えること」の2つが柱となります。

 

1. 生活習慣の改善

薬物療法に加えて、日々の生活習慣を見直すことが、治療の成功には不可欠です。

 

保湿: 乾燥はアトピー性皮膚炎の大敵です。入浴後や、乾燥が気になる時には、こまめに保湿剤を塗るようにしましょう。

 

スキンケア: 強くこすらず、優しく洗うことが大切です。刺激の少ない石鹸やシャンプーを選び、ぬるま湯で洗い流しましょう。

 

汗対策: 汗をかいたら、すぐにシャワーを浴びたり、濡れたタオルで拭いたりして、清潔な状態を保ちましょう。

 

衣類: 肌触りの良い綿素材の衣類を選び、ウールや化学繊維など刺激の強い素材は避けましょう。

 

アレルゲン対策: 部屋をこまめに掃除し、ダニやほこりを取り除くようにしましょう。

 

ストレス対策: 適度な運動や趣味を見つけるなどして、ストレスを上手に発散することも大切です。

 

 

2. 薬物療法

アトピー性皮膚炎の治療薬には、外用薬と内服薬があります。

 

外用薬(塗り薬)

(1)ステロイド外用薬

炎症を強力に抑える効果があります。症状の程度に合わせて、弱いものから強いものまで、様々な種類があります。

副作用を心配される患者様もいらっしゃいますが、医師の指示通りに、適切な量を、適切な期間使用すれば、副作用のリスクは最小限に抑えられます。

自己判断で塗るのをやめたり、量を減らしたりせず、必ず医師の指示に従ってください。

 

(2)タクロリムス軟膏

ステロイドではない、新しいタイプの外用薬です。ステロイドでコントロールが難しい場合や、顔など皮膚の薄い部分に使用されることが多いです。

 

(3)コレクチム軟膏

JAK阻害剤という新しいタイプの塗り薬で、かゆみと炎症の原因となるサイトカインの働きをブロックします。

2020年に保険適用となり、新たな治療選択肢として注目されています。

 

内服薬(飲み薬)

(1)抗ヒスタミン薬・抗アレルギー薬

かゆみを抑えるために使用されます。眠気などの副作用に注意が必要です。

(2)ステロイド内服薬

重症の場合に、一時的に炎症を抑えるために使用されます。長期使用は副作用のリスクがあるため、医師の指示を厳守してください。

(3)シクロスポリン内服薬

免疫抑制剤の一種で、重症の患者様に使用されます。

 

3. 生物学的製剤(注射薬)

従来の治療で効果が見られない、重症の患者様に対する新しい治療法です。

 

4. 光線療法

紫外線の一種であるUVAやUVBを患部に照射することで、炎症を抑える治療法です。

週に数回、医療機関で治療を行います。

 

予防、対策

アトピー性皮膚炎は、症状の波があるため、良い状態を保つことが重要です。

1. 日常生活での対策

毎日のスキンケア: 保湿と洗浄を習慣化しましょう。

掻かない工夫: かゆみを感じたら、冷やす、保湿剤を塗るなどして、掻かないように心がけましょう。爪を短く切ることも有効です。

環境整備: こまめな掃除、換気を行い、アレルゲンを減らしましょう。

体調管理: 規則正しい生活、バランスの取れた食事、十分な睡眠は、免疫力を高め、症状の安定に繋がります。

 

2. 医師との連携

アトピー性皮膚炎の治療は、患者様と医師の二人三脚で進めていくことが大切です。

症状が落ち着いている時でも、定期的に診察を受け、皮膚の状態をチェックしてもらいましょう。

症状が悪化した場合や、かゆみで眠れないなど、日常生活に支障をきたす場合は、すぐに受診してください。

 

その他

1. 食物アレルギーとの関係

乳幼児期のアトピー性皮膚炎では、食物アレルギーを合併していることがあります。

しかし、自己判断で特定の食べ物を除去することは、栄養不足に繋がる可能性があるため、必ず医師の指導のもとで行ってください。

 

2. 合併症

アトピー性皮膚炎は、皮膚のバリア機能が低下しているため、細菌やウイルスに感染しやすい状態です。

特に、とびひ(伝染性膿痂疹)やヘルペスなどの感染症には注意が必要です。

また、アトピー性皮膚炎の患者様は、アレルギー性鼻炎や気管支ぜんそく、アレルギー性結膜炎などを合併しやすいことが知られています。

 

3. 精神的なケア

かゆみや見た目の問題から、精神的なストレスを感じる患者様も少なくありません。ご家族や周囲の理解とサポートが非常に大切です。

 

最後に

アトピー性皮膚炎は、完治が難しい病気と言われることもありますが、適切な治療と日々のケアで、症状をコントロールし、健やかな肌を保つことは十分に可能です。

つらい時は一人で悩まず、いつでもご相談ください。

 

都営新宿線菊川駅より徒歩2分、菊川内科皮膚科クリニックです。

~監修 医療法人社団 俊爽会 理事長 小林俊一~

投稿者: 菊川内科皮膚科クリニック

2025.08.04更新


夏の体調不良、もしかして「食中毒」かも?

いよいよ本格的な夏がやってきました。

夏は楽しいイベントがたくさんありますが、実は体調を崩しやすい季節でもあります。

「夏風邪かな?」と思っていたら、実は食中毒だった、なんてことも珍しくありません。

「食中毒って、なんだか他人事のように感じる…」そんな方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、食中毒の原因菌は、身の回りのどこにでも潜んでいます。

このブログでは、食中毒を予防するためのヒントや、もしもの時の対処法等についてお話しさせていただきます。

 

食中毒とは?症状の特徴と原因

食中毒とは、食べ物や飲み物と一緒に、体に有害な細菌やウイルスなどが体内に入り、お腹の調子が悪くなる病気です。

食中毒と聞くと、激しい下痢や嘔吐をイメージされるかもしれませんが、軽度の発熱や腹痛、倦怠感だけで済む場合もあります。

 

主な症状は以下の通りです。

 

・下痢

・嘔吐、吐き気

・腹痛

・発熱

・全身の倦怠感

 

これらの症状は、原因となる菌やウイルスによって、食べた直後から数日後まで、現れるタイミングが異なります。

 

 

食中毒が起こる主な原因

食中毒の原因は多岐にわたりますが、夏の食中毒の多くは「細菌性食中毒」です。

高温多湿な環境は、細菌が繁殖するのに最適なため、食材の管理には特に注意が必要です。

主な原因菌としては、サルモネラ菌やカンピロバクターなどが知られています。

これらは加熱が不十分な肉や卵、生野菜などから感染することが多く、ご家庭でも注意が必要です。

 

もしも食中毒かな?と思ったら…自分でできる対処法

「なんだかお腹の調子が悪い…」と感じた時、ご自身でできる対処法はいくつかあります。

 

1. 水分補給をこまめに行う

下痢や嘔吐で一番怖いのは脱水症状です。

スポーツドリンクや経口補水液を少しずつ、こまめに飲むようにしてください。

 

2. 胃腸を休ませる

症状がひどい時は、食事は控えて胃腸を休ませてあげましょう。

症状が落ち着いてきたら、おかゆなど消化の良いものから少しずつ始めてください。

 

3. 下痢止め薬は自己判断で使わない

下痢は、体内にいる悪い菌や毒素を外に出そうとする体の防御反応です。

下痢止め薬で無理に止めてしまうと、かえって症状が悪化することもあります。

必ず医師にご相談ください。

 

こんな時はすぐにクリニックへ!
自分でできる対処法で様子を見ることも大切ですが、次のような症状がある場合は、すぐに医療機関を受診してください。

・激しい下痢や嘔吐が止まらない

・血便がある

・水分がまったく摂れない

・高熱が続く

・お子様やご高齢の方、持病をお持ちの方

 

「もう症状が治まってきたけど、なんだかお腹の調子がずっと良くない…」

そんな場合も、ご相談ください。

一見、食中毒の症状が落ち着いたように見えても、別の病気が隠れている可能性もあります。

 

診断と治療

食中毒が疑われる場合は、まず問診で症状や食事内容を詳しく伺い、必要に応じて便の検査などで原因を特定します。

症状がひどい場合は、点滴で水分補給を行い、症状を和らげるためのお薬を処方します。

 

当院は内視鏡検査にも力を入れております。

「胃カメラ」や「大腸カメラ」と聞くと、辛いイメージをお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、当院では患者様の負担をできる限り軽減できるよう、最新の内視鏡システムを導入しています。

「便秘や下痢が続く」「お腹の張りが気になる」といった慢性的な不調には、内視鏡検査で根本的な原因を調べることが大切です。

早期発見・早期治療のためにも、定期的な検査をお勧めしています。

 

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最後に…

食中毒は、日頃のちょっとした心がけで予防できる病気です。

食中毒予防の3原則「つけない・増やさない・やっつける」を意識して、安全な食生活を心がけましょう。

お腹の不調は、食中毒だけでなく、様々な病気のサインかもしれません。

些細なことでも「気になるな」と思ったら、お一人で悩まずに、どうぞお気軽にご相談ください。

 

 

都営新宿線菊川駅より徒歩2分、菊川内科皮膚科クリニックです。

 

 


監修:俊爽会 理事長 

日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医 

日本内科学会 総合内科専門医  小林俊一

 

投稿者: 菊川内科皮膚科クリニック

2025.07.14更新

胃腸炎について


胃腸炎って何?

胃腸炎は、胃や腸の粘膜に炎症が起こることで、吐き気、嘔吐、下痢、腹痛などの症状を引き起こす病気の総称です。

主にウイルスや細菌の感染によって起こることが多いですが、食中毒や薬剤、アレルギーなどが原因となることもあります。

多くの場合、数日で自然に治りますが、脱水症状など注意が必要なケースもあります。

 

症状の特性

胃腸炎の主な症状は以下の通りです。

 

・吐き気・嘔吐

 食べたものや胃液を吐いてしまうことがあります。特に感染初期に強く出やすい傾向があります。

・下痢

便が水っぽくなったり、回数が増えたりします。ときに血が混じることもあります。

・腹痛

お腹がゴロゴロ鳴ったり、差し込むような痛みを感じることがあります。 

・発熱

原因によっては、微熱から高熱まで発熱を伴うことがあります。

・頭痛、倦怠感

全身の倦怠感や頭痛を伴うこともあります。


これらの症状は、原因となる病原体や個人の免疫力によって、その程度や出現の仕方が異なります。特に小さなお子さんや高齢の方では、脱水症状に注意が必要です。

 

胃腸炎が起こるきっかけ

胃腸炎は様々なきっかけで発生します。

 

・ウイルス感染

最も一般的な原因です。

ノロウイルス、ロタウイルス、アデノウイルスなどが代表的で、感染者の便や嘔吐物から排出されたウイルスが口に入ることで感染(経口感染)します。

また、汚染された食品(特に二枚貝など)からの感染もあります。

 

細菌感染

カンピロバクター、サルモネラ、病原性大腸菌、腸炎ビブリオなどが原因となります。

主に生肉や加熱不十分な食品、汚染された水などを摂取することで感染します。

 

寄生虫感染

クリプトスポリジウムやジアルジアなど、稀に寄生虫が原因となることもあります。

 

薬剤性

抗生物質や特定の薬剤の副作用として胃腸炎に似た症状が出ることがあります。

 

アレルギー

特定の食品に対するアレルギー反応として、胃腸炎症状が現れることがあります。

 

胃腸炎のタイプ

胃腸炎は、その原因や発症の仕方によって大きく2つのタイプに分けられます。

 

①急性胃腸炎

突然発症し、短期間で治癒するタイプです。

ウイルスや細菌による感染が主な原因で、いわゆる「お腹の風邪」と呼ばれることもあります。

 

②慢性胃腸炎

症状が数週間から数ヶ月以上続くタイプです。

感染症が原因で慢性化することは稀で、ストレス、生活習慣、特定の疾患(過敏性腸症候群、炎症性腸疾患など)が関与していることが多いです。

 

胃腸炎の発生部位ごとの特性

胃腸炎は、炎症が起こる部位によって症状の特性が異なります。

 

・胃炎(胃の炎症)

吐き気、嘔吐、上腹部痛が中心です。

 

・小腸炎(小腸の炎症)

下痢、腹部のゴロゴロ感(腹鳴)、けいれん性の腹痛が特徴的です。

水分や栄養の吸収障害が起こりやすく、脱水になりやすい傾向があります。

 

・大腸炎(大腸の炎症)

下痢(ときに血便)、下腹部痛、しぶり腹(排便後も便が残っているような不快感)が中心です。

 

多くの胃腸炎では、胃から腸にかけて広範囲に炎症が及ぶため、これらの症状が複合的に現れることがほとんどです。

 

胃腸炎を引き起こす主な疾患

胃腸炎の症状を呈する主な疾患には、以下のようなものがあります。

 

・感染性胃腸炎

ノロウイルス、ロタウイルス、サポウイルス、アデノウイルスなどのウイルスや、カンピロバクター、サルモネラ、病原性大腸菌、腸炎ビブリオ、黄色ブドウ球菌などの細菌によるものです。

・食中毒

毒素型(黄色ブドウ球菌、セレウス菌など)や感染型(サルモネラ、カンピロバクターなど)があり、汚染された食品を摂取することで発症します。

・薬剤性腸炎

特定の薬剤(抗生物質、NSAIDsなど)の使用によって、腸に炎症が起こる病気です。

・炎症性腸疾患

潰瘍性大腸炎やクローン病など、原因不明の慢性的な炎症が腸に起こる病気です。胃腸炎とは異なり、長期的な治療が必要となります。

・過敏性腸症候群

腸に明らかな異常がないにもかかわらず、ストレスなどで腹痛や下痢、便秘を繰り返す病気です。

 

胃腸炎を和らげるためセルフケアは?

胃腸炎の症状を和らげ、回復を早めるためには、自宅での適切なセルフケアが非常に重要です。

 

・十分な水分補給

嘔吐や下痢によって体から水分や電解質が失われるため、経口補水液などを少量ずつこまめに摂取し、脱水を予防することが最も重要です。

スポーツドリンクも有効ですが、糖分が多いものもあるため注意が必要です。

 

・消化に良い食事

胃腸に負担をかけないよう、消化の良いものを少量ずつ摂るようにしましょう。

おかゆ、うどん、すりおろしリンゴ、よく煮込んだ野菜などがおすすめです。脂っこいもの、香辛料の強いもの、冷たいもの、アルコール、カフェインなどは避けてください。

 

・体を休める

無理をせず、安静にして体力を回復させることが大切です。

 

・市販薬の利用

吐き気止めや整腸剤などの市販薬もありますが、自己判断での使用は避けて、薬剤師や医師に相談することをお勧めします。

特に下痢止め薬は、病原体の排出を妨げる可能性があるため、むやみに使用しない方が良い場合もあります。

 

受診するタイミングは?

多くの場合、胃腸炎は数日で自然に治まりますが、以下のような場合は医療機関を受診してください。

・激しい腹痛や嘔吐が続く
・血便や黒い便が出る
・38℃以上の高熱が続く
・脱水症状の兆候
・症状が改善しない、または悪化する
・乳幼児や高齢者、持病がある方 

 

どのような検査が必要で、何を調べる?

医療機関では、症状や診察所見に応じて、以下のような検査を行うことがあります。

・便検査

症状や状況に応じて、便中のウイルスや細菌、寄生虫の有無を調べることがあります。

・血液検査

必要に応じて、炎症の程度や脱水の有無、肝臓や腎臓の機能などを確認することがあります。

・内視鏡検査

症状が長引く場合や、血便が続くなど他の重篤な疾患(炎症性腸疾患や腫瘍など)が疑われる場合には、胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)や大腸カメラ(下部消化管内視鏡検査)を検討することがあります。

これにより、直接胃や腸の粘膜の状態を観察し、必要に応じて組織を採取して病理検査を行うことで、より詳細な診断が可能です。

 


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どのような診断と治療が行われるの?

診断

主に問診と身体診察、必要に応じて便検査などから総合的に診断を行います。

多くの場合、症状の特徴からウイルス性胃腸炎と診断されることが多いです。

 

治療

胃腸炎の治療は、症状を和らげ、回復をサポートする対症療法が中心となります。

水分・電解質の補給: 脱水予防のため、経口補水液などでしっかり補給します。

症状を聞き、お薬が処方されることもあります。

 

どのような診察が行われるの?

内科クリニックでの診察では、主に以下のような流れで進みます。

問診

受付で記入された問診票を元に、医師が詳しく症状や経過、食歴、アレルギーの有無、既往歴、服用中の薬などを伺います。

 

身体診察

腹部の触診を行い、痛みのある場所や硬さ、お腹の音などを確認します。また、全身の状態(顔色、皮膚の乾燥具合など)から脱水の有無を評価します。

 

必要に応じた検査

医師の判断で、便検査や血液検査などを提案し、説明します。

 

診断と説明

診察や検査結果から病状を診断し、現在の状態や考えられる原因について詳しく説明します。

 

治療方針の説明と処方

症状を和らげるための薬の処方や、自宅での過ごし方、食事に関するアドバイスなど、治療方針を具体的に説明します。

 

再診の指示

必要に応じて、次回の受診の目安や、症状が悪化した場合の受診タイミングなどを伝えます。

 

 

最後に…

胃腸炎は、誰でもかかる可能性のある身近な病気です。

多くの場合、安静と水分補給で自然に回復しますが、症状が重い場合や長引く場合は、迷わず医療機関を受診してください。

特に小さなお子さんやご高齢の方、基礎疾患をお持ちの方は、重症化するリスクがあるため注意が必要です。

日頃からの手洗いの徹底や食品の適切な管理など、感染予防に努めることも大切です。

もし胃腸炎かな?と感じたら、無理せず早めにご相談ください。

 

 

都営新宿線菊川駅より徒歩2分、菊川内科皮膚科クリニックです。

 

監修:俊爽会 理事長 

日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医 小林俊一

投稿者: 菊川内科皮膚科クリニック

2025.07.11更新

イボ(疣贅)について
皮膚にできる「イボ」は医学的に「疣贅(ゆうぜい)」と呼ばれ、多くはヒトパピローマウイルス(HPV)感染によるものです。

イボの基本知識から診断、治療、セルフケアまで解説いたします。


疣贅って何?
イボは皮膚の隆起で、多くはHPV感染による「ウイルス性疣贅」です。

ウイルスが微細な傷から侵入し、細胞が増殖して形成されます 。潜伏期間は1〜6ヶ月程度です。

加齢や紫外線が原因の「老人性イボ」など非ウイルス性のものもあります。

 

症状の特性
イボは通常、痛みやかゆみを伴いません。

しかし放置すると増殖し、他者へ感染させるリスクがあります。

ウイルス性イボは表面がざらざらした突起状です。

足の裏のイボは体重で平らになりやすく、歩行時に痛むことがあります。

イボに見られる黒い点は血管の塊です。

 

疣贅が起こるきっかけ
主な原因はHPV感染で、皮膚の傷から侵入します。

直接接触や、プールサイドなどを介した間接接触でも感染します。

免疫力低下時や皮膚に傷がある場合に発生しやすいです。非ウイルス性のイボは、紫外線、加齢、摩擦などが原因です。

 

 

疣贅のタイプ
イボはウイルス性と非ウイルス性に大別されます。

 

ウイルス性イボ

・尋常性疣贅(手足に多いざらざらした突起)

・扁平疣贅(顔や手の甲に多い平らな斑点)

・尖圭コンジローマ(性器周辺のカリフラワー状)

・伝染性軟属腫(子供に多い水いぼ) などがあります。

 

非ウイルス性イボ

・老人性疣贅(加齢・紫外線が原因の茶色い盛り上がり)

・軟性線維腫(首や脇の下のぶら下がったイボ) などがあります。

 

疣贅の発生部位ごとの特性
イボは部位により特性が異なります。

手足のイボは治療に難渋することが多く、足底イボはタコやウオノメと鑑別が必要です。

顔や首のイボは見た目の問題で治療希望が多いです。


疣贅を和らげるためのセルフケアは?
市販薬は角質を柔らかくする効果は期待できますが、ウイルス排除や組織除去はできません。

副作用が生じたら使用を中止し、皮膚科を受診してください。

無理に触ったり潰したりすると、ウイルスが広がり悪化や細菌感染のリスクがあります。

皮膚を清潔に保ち保湿し、免疫力を高める生活習慣も大切です。

 

受診するタイミングは?
イボは放置すると増えたり大きくなったり、他人に感染させるリスクがあるため、早めの受診が推奨されます。

短期間で増大・変化した場合、色や形が変わった場合(悪性腫瘍の可能性も)、痛みやかゆみが出た場合、市販薬が効かない場合は速やかに皮膚科を受診してください。

 

どのような検査が必要で、何を調べる?
皮膚科では主に以下の検査が行われます。

視診でほとんど診断可能ですが 、ダーモスコピー検査で詳細に観察します。

タコやウオノメとの鑑別には角質削りを行い、点状出血を確認します。

悪性腫瘍が疑われる場合は、皮膚生検(病理組織検査)で組織を詳しく調べます。

 

どのような診断と治療が行われるの?
イボの種類や状態に応じ、最適な治療法が選択されます。

 

・液体窒素療法

最も一般的で簡便な治療法です。-196℃の液体窒素でイボを凍結・壊死させます 。複数回繰り返す必要があります 。

 

・炭酸ガスレーザー治療

液体窒素で効果が見られにくい大型・難治性のイボに検討されます 。局所麻酔後、レーザーでイボ組織を蒸発させます 。

 

・内服薬(ヨクイニン)

免疫力向上を促しますが、単独効果は限定的です 。

 

・外用薬

強い酸で組織を腐食させたり、角質を柔らかくしたりします 。

 

どのような診察が行われるの?
医療機関では、まず受付で問診票にご記入いただき、医師がイボの状態を診察します。

イボの種類や治療法を説明し 、最適な治療方針を提案します。

納得いただければ施術を行い、治療後はスキンケアや注意点が説明され、定期的な通院で経過を観察します。

 

最後に…
イボは多くの方が経験する皮膚の悩みですが、適切な診断と治療で改善が期待できます。

放置すると増えたり、他人に感染させたり、まれに皮膚がんが隠れていることもあります。

気になるイボがあれば、お気軽に医療機関にご相談ください。

 


都営新宿線菊川駅より徒歩2分、菊川内科皮膚科クリニックです。

 


~監修 医療法人社団 俊爽会 理事長 小林俊一~

投稿者: 菊川内科皮膚科クリニック

2025.07.07更新

脱水症について

「夏は水分を摂りましょう」という言葉はよく聞きますが、実は脱水症は夏だけの病気ではありません。

季節を問わず、様々な状況で誰にでも起こりうる身近な病気です。

「なんとなく体調が悪い」「疲れが取れない」といった、普段見過ごしがちな不調が、実は脱水症のサインかもしれません。

この記事では、脱水症の基礎知識から、ご自身でできるセルフケア、そして医療機関を受診するタイミングまで詳しく解説します。

 

脱水症って何?
脱水症とは、体内の水分と電解質(ナトリウムやカリウムなど)が不足した状態を指します。

体内の水分は体重の約60%を占めており、生命を維持するために非常に重要な役割を担っています。体液が不足すると、体内の臓器が正常に機能できなくなり、様々な不調が現れるのです。

 

症状の特性
脱水症の症状は、軽度から重度まで多岐にわたります。

〇軽度の症状

・口や喉の渇き

・尿量の減少、尿の色が濃くなる

・頭痛、めまい、立ちくらみ

・皮膚や唇の乾燥

〇中度の症状

・強いだるさ、倦怠感

・食欲不振、吐き気

・体温の上昇(熱中症の症状)

・集中力や判断力の低下

〇重度の症状

・意識障害、けいれん

・手足の震え

・血圧の低下

・腎不全など重篤な合併症

 

脱水症が起こるきっかけ

脱水症は、水分摂取量が不足したり、体外へ水分が過剰に排出されたりすることで起こります。

〇水分摂取量の不足

・発熱や下痢、嘔吐など体調不良時

・高齢者や乳幼児で水分補給が不十分な場合

・スポーツや激しい運動で汗を大量にかいた後

〇水分排出量の増加

・多量の発汗(特に高温多湿の環境下)

・下痢や嘔吐

・多尿(糖尿病など)

 

脱水症のタイプ

脱水症は、失われた体液の成分によって3つのタイプに分けられます。

高張性脱水: 体液の水分が電解質よりも多く失われるタイプ。喉の渇きを強く感じます。

等張性脱水: 水分と電解質がバランス良く失われるタイプ。気づきにくいため、注意が必要です。

低張性脱水: 電解質よりも水分が多く失われるタイプ。むくみが出たり、全身倦怠感、食欲不振などが現れます。

 

脱水症の発生部位ごとの特性

脱水症は全身に影響を及ぼしますが、特に影響が出やすい部位があります。

 

①脳: 意識障害や頭痛、めまいを引き起こします。

②腎臓: 尿量が減少し、腎機能が低下します。

③皮膚: 乾燥し、弾力性が失われます。

④消化器: 食欲不振、吐き気、便秘などを引き起こすことがあります。

特に、下痢や嘔吐が原因で脱水症になることもあれば、脱水症が原因で消化器症状が悪化することもあります。

 

脱水症を引き起こす主な疾患

脱水症は、様々な疾患の症状として現れることがあります。

 

感染性胃腸炎: 下痢や嘔吐を伴い、水分や電解質が大量に失われます。

糖尿病: 血糖値が高いと尿量が増え、脱水症になりやすくなります。

熱中症: 高温下で体温調節ができなくなり、多量の発汗で脱水が進みます。

慢性的な消化器疾患: 過敏性腸症候群や**炎症性腸疾患(クローン病、潰瘍性大腸炎)**など、下痢や腹痛が続く病気は、慢性的な脱水状態を引き起こす可能性があります。

 

これらの疾患は、単なる脱水症の症状と思われがちですが、根本に別の病気が隠れていることがあります。

 

脱水症を和らげるためのセルフケアは?

軽度の脱水症であれば、ご自宅でのセルフケアで改善が期待できます。

こまめな水分補給: 喉が渇く前に、少しずつ頻繁に水分を摂りましょう。

塩分・糖分の補給: 水分と一緒に、塩分や糖分も補給することが大切です。スポーツドリンクや経口補水液が効果的です。

経口補水液の活用: 脱水状態の改善には、水やお茶よりも電解質がバランス良く含まれた経口補水液が適しています。

 

受診するタイミングは?

以下のような症状がある場合は、早めに医療機関を受診してください。

・口の中が乾燥して喋りにくい

・意識がぼんやりする、呼びかけへの反応が鈍い

・尿がほとんど出ない、または色が非常に濃い

・下痢や嘔吐が続いている

・セルフケアをしても症状が改善しない

 

特に、消化器症状が長引く場合は、単なる脱水症ではなく、消化器系の病気が隠れている可能性があります。その場合は、適切な診断と治療が必要です。

 

どのような検査が必要で、何を調べる?
クリニックでは、まず脱水の状態を評価するために、血液検査や尿検査を行います。

 

〇血液検査

ヘモグロビン濃度やヘマトクリット値、電解質(ナトリウム、カリウム、クロール)、腎機能を示すクレアチニンなどを調べ、脱水の程度や全身状態を評価します。

〇尿検査

尿の比重や色、ケトン体などを調べ、脱水の程度を把握します。

 

さらに、下痢や腹痛などの消化器症状が続く場合は、その原因を特定するために、より詳しい検査が必要になることがあります。

「最近、下痢が続いている」「お腹の調子がずっと悪い」といったお悩みはありませんか?

もしかすると、内視鏡検査によって、脱水症の原因となっている病気が見つかるかもしれません。

内視鏡検査は、食道、胃、大腸の粘膜を直接観察できるため、潰瘍や炎症、ポリープなどの異常を早期に発見し、適切な治療へとつなげることができます。

 

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どのような診察が行われるの?
当クリニックでは、まず問診で症状や経過を詳しくお伺いします。

脱水症の程度や原因を判断するため、触診や視診で皮膚の弾力性や口の乾燥状態などを確認します。

もし、下痢や腹痛が慢性的に続く場合は、脱水症の原因を特定するため、さらに詳しい診察や検査についてご提案させていただきます。

 

どのような診断と治療が行われるの?
検査の結果に基づき、脱水症の診断と治療方針を決定します。

軽度〜中度の場合: 経口補水液や点滴による水分・電解質の補給を行います。

重度の場合: 入院して集中的な点滴治療が必要になることもあります。

基礎疾患がある場合: 糖尿病や消化器疾患など、脱水症の原因となっている病気があれば、その治療も並行して行います。

当クリニックでは、消化器専門医が在籍しており、内視鏡検査を含めた専門的な診療が可能です。脱水症の裏に隠れているかもしれない病気を早期に発見し、根本的な治療につなげることが可能です。

 

最後に…
脱水症は身近な病気ですが、放置すると命に関わることもあります。「喉が渇いたな」と感じた時には、すでに脱水が始まっています。

日頃からこまめな水分補給を心がけ、体調に異変を感じたら早めに医療機関を受診しましょう。

特に、下痢や腹痛が続くなど、気になる消化器症状がある場合は、自己判断せずに一度ご相談ください。

 


都営新宿線菊川駅より徒歩2分、菊川内科皮膚科クリニックです。

 

監修:俊爽会 理事長 

日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医 小林俊一

 

 

投稿者: 菊川内科皮膚科クリニック

2025.07.02更新

【消化器内科はどんなときに受診すべき?】


■ 消化器内科とはどのような診療科か
消化器内科では、食道・胃・小腸・大腸といった消化管や、肝臓・胆のう・膵臓といった消化を助ける臓器に関する病気を専門的に診療しています。

たとえば、「お腹が痛い」「胸やけが続く」「便の調子が悪い」といった比較的軽い症状から、がんや慢性の炎症性疾患など重い病気まで、幅広い不調に対応しています。

おなかの不具合は、生活の快適さに直結するだけでなく、早期に発見・治療しないと深刻な疾患に進展することもあります。

早めの受診が健康を守る第一歩です。

 

 

■ どんな症状があれば、消化器内科に行くべき?

「ちょっとした不調だから様子を見よう」と我慢される方も少なくありませんが、以下のような症状がある場合は、

当院の内科外来受診をご検討ください。

 

・胃の痛みや胸やけが長引いている
 市販の薬を使っても改善しない場合、胃炎や胃潰瘍、逆流性食道炎といった疾患が潜んでいることがあります。

 

・食欲が出ない・体重が減ってきた
 原因不明の食欲低下や体重減少は、消化器疾患に限らず、全身の病気が背景にあることも考えられます。

 

・便秘・下痢が続いている
 2週間以上便通異常が続く場合は、過敏性腸症候群、潰瘍性大腸炎、大腸がんなどの可能性があります。

 

・血便や黒っぽい便が出る
 血液が混じった便やタールのような黒い便は、消化管のどこかで出血が起きているサインかもしれません。

 

・吐き気や嘔吐が続く
 胃腸の炎症や閉塞、または肝胆膵の病気が原因となるケースもあります。長引く場合は要注意です。

 

 

■ 特に注意すべき緊急性の高い症状

以下のような症状は、命に関わる病気の可能性もあるため、できるだけ早く当院へ相談、もしくは救急外来を受診してください。

 

・急激な腹痛、激しい痛み
 急性膵炎、虫垂炎、消化管穿孔など緊急処置が必要な病気のサインかもしれません。

 

・吐血や下血
 吐いたものに血が混じる、赤い便・黒色便が出る場合は、消化管出血の疑いがあり、至急の対応が求められます。

 

・黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)
 肝臓や胆道系の障害が進行している可能性があります。

 

・高熱を伴う腹痛
 腹膜炎や感染症などが疑われるため、早急な検査が必要です。

 

・脱水症や意識の低下
 嘔吐や下痢が続いて水分補給ができない状態では、脱水や電解質異常による意識障害が起こることもあります。

 

 

■ 受診すべきか迷ったときの判断のポイント

症状が軽くても、次のような場合には受診を考えてみましょう。

 

・市販薬で改善せず、1〜2週間以上続いている

 

・症状が徐々に悪化している

 

・発熱や体重減少、血便など他の症状も出てきた

 

・ご家族に消化器疾患の既往がある(がん、ポリープ、潰瘍など)

 

また、40歳を過ぎた方、たばこやお酒の習慣がある方、ストレスの多い生活を送っている方は、
軽い症状でも早めに医師の診察を受けることが大切です。

 

 

■ 検査・予防目的での消化器内科受診も重要

消化器の病気の中には、症状が出にくいまま進行するものも多いため、症状がなくても定期的な検査を受けることで、病気の早期発見・早期治療が可能になります。

 

・40歳以上の方は、一度胃カメラ・大腸カメラの受診を
 胃がんや大腸がんは、早期に発見できれば治療の選択肢も広がります。

 

・ピロリ菌の検査と除菌
 ピロリ菌は胃がんのリスクに関わる細菌です。陽性の場合は除菌治療を行いましょう。

 

・肝臓・胆のう・膵臓のチェック
 自覚症状が乏しい臓器のため、超音波検査や血液検査での定期的なチェックが効果的です。

 

・家族に消化器疾患がある方は、若いうちからの受診を
 家族歴がある場合、発症リスクが高まる可能性があります。

 

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■ まとめ:消化器の不調は放置せず、早めの相談を

お腹の症状は誰にでも起こるものですが、「大したことない」と思って放置すると、重大な病気が進行してしまうこともあります。

少しでも気になることがあれば、早めに当院を受診し、安心につなげましょう。

当院では、患者様のお悩みや症状に寄り添いながら、総合内科専門医、消化器内視鏡専門医が丁寧に診察・検査・治療を行っています。

定期検査をご希望の方や、不安な症状がある方は、どうぞお気軽にご相談ください。

 

 

医療法人社団 俊爽会 理事長  

日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医 小林俊一

 

投稿者: 菊川内科皮膚科クリニック

2025.06.26更新

溶連菌について

 

溶連菌とは

溶連菌は「溶血性連鎖球菌(ようけつせいれんさきゅうきん)」という細菌の一種で、主にのどに感染することで発熱やのどの痛みなどの症状を引き起こします。

特にA群β溶連菌が原因になることが多く、子どもから大人までかかることがあります。

<主な症状>

・急に38~39℃くらいの高い熱が出る

・のどの強い痛みがある(唾を飲み込むのもつらいことがあります)

・のどや扁桃腺が赤く腫れる、白い膿がつくこともある

・体や手足に小さな赤い発疹が出ることがある

・舌がイチゴのようにブツブツになる(「イチゴ舌」)

 

頭痛、首のリンパ節の腫れ、腹痛や嘔吐などの症状もみられることがあります。

風邪と違い、咳や鼻水はほとんど出ません。

 

 

原因

溶連菌感染症は、「A群溶血性連鎖球菌(A群β溶連菌)」という細菌が体に感染することで起こります。

主な感染経路には以下のようなものがあります。

 

・飛沫感染
感染者の咳やくしゃみ、会話などで飛び散った唾液や鼻水のしぶきを吸い込むことでうつります。

 

・接触感染
感染者が使ったタオルや食器、ドアノブなどを介して菌が手に付き、その手で口や鼻、目などを触ることで感染します。

 

・食品感染
まれに、溶連菌に汚染された食品を食べることで感染することもあります。

 

・その他の要因

 溶連菌は普段から人の鼻やのどの中にいることもありますが、体調が悪いときや免疫力が低下しているときに発症しやすくなります。

 

 

診断

溶連菌感染症の診断は、主に「症状」と「検査結果」を組み合わせて総合的に行います。

 

<主な検査方法>

現場でよく行われる検査は以下の3つです。

 

1. 迅速抗原検査(迅速診断キット)
綿棒でのどの奥をぬぐい、検体を採取して溶連菌の抗原があるかを調べます。 

結果は5~10分程度で分かり、診察当日に結果が出るため最も一般的に使われています。

ただし、菌が少ない場合や保菌者の場合は正確性に限界があるため、症状と合わせて判断します。

こちらの検査は当院でも行うことができ、10分ほどで結果が分かります。

 

2. 培養検査
綿棒で採取した咽頭ぬぐい液を培養して、溶連菌が実際に増殖するかを確認します。

より正確ですが、結果が出るまで数日~1週間ほどかかります。

 

3. 血液抗体検査(ASO・ASK)
血液を採取して、溶連菌に対する抗体(ASO、ASK)が増えているかを調べます。

抗体は感染後1週間ほどで上昇し始めるため、急性期の診断には向きませんが、合併症の診断や経過観察に使われます。

 

補足検査

合併症(急性糸球体腎炎など)が疑われる場合、尿検査や追加の血液検査を行うこともあります。

 

 

治療

溶連菌感染症の治療は、「抗生物質(抗菌薬)」を飲むことが基本です。

一番よく使われるのは「ペニシリン系」という種類の抗生物質です。アレルギーがある方には他の種類の抗生物質を使うこともあります。

抗生物質を飲み始めると、熱やのどの痛みは1~2日で楽になることが多いです。

ただし、症状が良くなっても自己判断で薬をやめてはいけません。

処方された期間(通常は7~10日間)は、必ず最後まで飲み切ることがとても大切です。

途中で薬をやめてしまうと、体の中に残った溶連菌が再び増えて、症状がぶり返したり、リウマチ熱や腎炎などの合併症を引き起こしたりすることがあります。

抗生物質を飲み始めて24時間ほど経つと、他の人にうつす心配はほとんどなくなります。

 

 

予防

溶連菌は、主に「飛沫感染」と「接触感染」でうつる細菌です。

日常生活でできる予防策をしっかり行うことで、感染を防ぐことができます。

 

<主な予防策>

・こまめな手洗い

外から帰ったとき、食事の前、トイレの後などは、石けんと流水でしっかり手を洗いましょう。

指の間や手首まで丁寧に洗うことが大切です。

 

・うがいの習慣

帰宅時や食事前にうがいをすることで、のどについた菌を洗い流すことができます。

 

・マスクの着用と咳エチケット

咳やくしゃみをするときはマスクを着用したり、口や鼻をハンカチやティッシュ、袖で覆いましょう。

周囲に感染を広げないためにも、マスクの着用は効果的です。

 

・タオルや食器の共用を避ける

家族間でもタオルや食器、歯ブラシなどは別々に使いましょう。

特に感染者がいる場合は、共有を避けてください。

 

・身の回りの消毒

ドアノブやおもちゃなど、よく触れる場所はアルコールや次亜塩素酸ナトリウムなどでこまめに消毒しましょう。

 

・感染者との濃厚接触を避ける

感染した方との接触はできるだけ控えましょう。

 

・早めの受診と治療

のどの痛みや発熱など、気になる症状があれば早めに医療機関を受診してください。

 

 

症状が悪化した場合…

溶連菌感染症は、抗生物質をしっかり飲めば多くの場合すぐに良くなりますが、治療が不十分だったり、放置したりすると「合併症」と呼ばれる重い病気を引き起こすことがあります。

 

<悪化した場合に起こる主な合併症>

・リウマチ熱
溶連菌感染後2~3週間ほどして発症することがあり、関節が腫れて痛くなったり、心臓に炎症が起きることがあります。まれですが、心臓の弁膜症など後遺症を残すこともあります。

 

・急性糸球体腎炎(きゅうせいしきゅうたいじんえん)
こちらも感染後2~3週間で発症し、腎臓に炎症が起きます。むくみや血尿(赤黒い尿)、高血圧、頭痛などの症状が出ることがあります。

 

・劇症型溶連菌感染症
きわめてまれですが、急激に重症化し、命に関わることもある危険な病気です。急な発熱、強い痛み、意識障害などが現れます。

 

・その他
中耳炎、肺炎、敗血症、皮膚の発疹や紫斑など、さまざまな合併症が起こる可能性があります。

 

 

溶連菌感染症は、症状が軽くなっても自己判断で薬をやめず、必ず医師の指示通りに最後まで飲み切ることが大切です。

 

もし、のどの痛みや発熱が続く、体がむくむ、尿の色が赤黒い、関節が腫れる・痛む、息切れや動悸があるなど、気になる症状が出た場合は、早めにクリニックを受診してください。

 

合併症を防ぐためにも、治療後1か月ほど経ったら尿検査などの経過観察もおすすめしています。不安なことがあれば、いつでもご相談ください。

 


都営新宿線菊川駅より徒歩2分、菊川内科皮膚科クリニックです。

【監修:俊爽会 理事長 小林俊一】

 

 

投稿者: 菊川内科皮膚科クリニック

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