きくクリブログ

2025.05.15更新

爪水虫(爪白癬)とは

爪水虫は、白癬菌というカビ(真菌)が爪に感染して起こる病気です。足の指の爪に起こることが多いですが、手の指の爪にも起こることがあります。

 

・爪水虫の症状と特徴

爪水虫の症状は、進行の度合いや感染した菌の種類によって様々ですが、一般的には以下のような変化が見られます。

爪の変色: 白く濁ったり、黄色っぽく変色したりします。進行すると、茶色や黒っぽく変色することもあります。
爪の肥厚(厚くなる): 爪が通常よりも厚く盛り上がることがあります。
爪の変形: 爪の形が歪んだり、ボロボロになったり、剥がれやすくなったりします。
爪の表面の凹凸: 爪の表面がザラザラしたり、縦や横に筋が入ったりすることがあります。
爪の脆弱化: 爪がもろくなり、割れやすくなります。
痛みやかゆみ: 初期にはほとんどありませんが、進行して爪が周囲の皮膚に食い込んだりすると、痛みを感じることがあります。かゆみは通常ありません。

・爪水虫の原因

爪水虫の主な原因は、白癬菌というカビの一種です。この菌は、高温多湿な環境を好み、足の裏や指の間の水虫(足白癬)から感染することが多いです。

足白癬からの感染: 足の水虫を放置していると、白癬菌が爪の隙間から侵入し、爪水虫を引き起こすことがあります。これが最も一般的な感染経路です。
家族内感染: 家族に水虫の人がいる場合、バスマットやスリッパなどを共有することで感染することがあります。
温泉やプール、ジムなどの利用: これらの場所は白癬菌が存在しやすい環境であり、素足で歩くことで感染のリスクが高まります。
通気性の悪い靴や靴下: ムレやすい環境は白癬菌の繁殖を促します。
免疫力の低下: 高齢者や免疫力が低下している方は、感染しやすい傾向があります。
外傷: 爪に小さな傷があると、そこから菌が侵入しやすくなります。


・治療法

爪水虫は自然に治ることはほとんどなく、適切な治療が必要です。治療法には、大きく分けて外用療法と内服療法があります。

・外用療法(塗り薬)

爪の表面に直接塗る抗真菌薬です。

以前は浸透性が低い薬が多かったのですが、近年では爪への浸透性を高めた新しい外用薬が登場しています。
爪の表面だけの比較的軽度な感染に適応されます。
効果が出るまでに時間がかかることがありますので根気強く続けることが大切です。
爪の厚い部分には、やすりで表面を削ってから塗ると、薬の浸透が良くなることがあります。ただし、自己判断で行わず、医師の指示に従ってください

・内服療法(飲み薬)

抗真菌薬を内服することで、体の内側から白癬菌を駆除します。

外用療法よりも効果が高いとされています。
爪の奥深くまで感染が広がっている場合や、複数の爪に感染している場合に適応されます。

・内服薬の種類と特徴
イトラコナゾール: パルス療法(一定期間服用と休薬を繰り返す方法)と持続療法があります。他の薬との飲み合わせに注意が必要です。
テルビナフィン: 比較的短期間で効果が期待できます。肝機能に注意が必要です。
ホスラブコナゾール: 新しい内服薬で、比較的副作用が少ないとされています。他の薬との飲み合わせに注意が必要です。
内服薬は、肝機能障害などの副作用が出ることがありますので、定期的な血液検査が必要です。必ず医師の指示を守って服用してください。

・その他の治療法(補助的な治療)

爪のケア: 厚くなった爪を薄くしたり、変形した部分を整えたりすることで、外用薬の浸透を助けたり、症状の緩和につながることがあります。ただし、無理に行うと爪を傷つける可能性があるため、医師や専門家の指導のもとで行ってください
レーザー治療: 近年、新しい治療法としてレーザー治療を行う医療機関も出てきていますが、まだ保険適用外であり、効果や安全性については十分な情報がない場合もあります
どの治療法が最適かは、爪の状態、感染の程度、患者さんの年齢や基礎疾患、内服薬の適応などを考慮して、医師が判断します。自己判断で市販薬を使用したり、治療を中断したりせず、必ず医師の指示に従ってください。

 

・治療期間

爪が生え変わるのには時間がかかるため、爪水虫の治療には根気が必要です。

手の爪の場合:約半年
足の爪の場合:約1年
治療期間は、感染の程度や爪の生え変わる速度によって個人差があります。医師の指示に従い、最後までしっかりと治療を続けることが大切です。

 

・予防法

爪水虫を予防するためには、日常生活で以下の点に注意しましょう。

足を清潔に保つ: 毎日入浴し、指の間まで丁寧に洗い、しっかりと乾燥させましょう。
通気性の良い靴下や靴を選ぶ: ムレにくい素材を選び、同じ靴を毎日履くのは避けましょう。
靴を乾燥させる: 履いた靴は陰干しするなどして、十分に乾燥させましょう。
裸足で歩かない: 公共の場所(温泉、プール、ジムなど)では、スリッパやサンダルを履きましょう。
家族に水虫の人がいる場合は注意する: バスマットやタオル、スリッパなどを共有しないようにしましょう。
足白癬(水虫)を早期に治療する: 足に水虫の症状がある場合は、早めに皮膚科を受診して治療しましょう。
爪を清潔に保ち、深爪をしない: 爪を清潔に保ち、適切な長さに切りましょう。深爪は菌が侵入する原因になることがあります。


・最後に

爪水虫は、見た目の問題だけでなく、放置すると症状が悪化したり、他の人に感染させてしまう可能性もあります。気になる症状があれば、自己判断せずに早めに皮膚科を受診し、適切な診断と治療を受けることが大切です。

何かご不明な点や心配なことがあれば、遠慮なくお尋ねください。一緒に根気強く治療していきましょう。

 

都営新宿線菊川駅より徒歩2分、菊川内科皮膚科クリニックです。

【監修:俊爽会 理事長 小林俊一】

投稿者: 菊川内科皮膚科クリニック

2025.05.01更新

◎頭皮のフケやかゆみについて

 

①原因と病態

頭皮のフケやかゆみは、さまざまな原因によって引き起こされます。主な原因としては、以下のものが挙げられます。

・脂漏性皮膚炎:皮脂の分泌が多い人に起こりやすく、マラセチア菌というカビが関与しています。赤い湿疹や黄色っぽいフケが見られます。

・乾燥性皮膚炎:頭皮の乾燥によってバリア機能が低下し、外部からの刺激を受けやすくなることで起こります。細かい白いフケが出ることが多いです。

・接触性皮膚炎:シャンプーやリンス、ヘアカラー剤などが合わない場合に起こります。かゆみや赤み、かぶれなどが現れます。

・乾 癬免疫の異常によって皮膚の細胞が過剰に増殖し、赤い発疹銀白色のフケが現れます。

・アトピー性皮膚炎アレルギー体質の人に多く見られ、かゆみを伴う湿疹が頭皮にも現れることがあります。

 

②検査と診断

フケやかゆみの原因を特定するために、以下の検査を行うことがあります。

・視 診頭皮の状態を観察し、フケの種類や湿疹の有無などを確認します。

・真菌検査フケを採取し、顕微鏡でマラセチア菌などの真菌の有無を確認します。

・パッチテスト接触性皮膚炎が疑われる場合に、原因となる可能性のある物質を皮膚に貼り、反応を確認します。

 

③治療法

治療法は原因によって異なりますが、主に以下のものが用いられます。

・抗真菌薬脂漏性皮膚炎の場合、マラセチア菌の増殖を抑える抗真菌薬のシャンプーや外用薬を使用します。

・ステロイド外用薬炎症を抑えるために、ステロイド外用薬を使用することがあります。

・保湿剤:乾燥性皮膚炎の場合、保湿剤で頭皮の乾燥を防ぎます。

・抗ヒスタミン薬かゆみが強い場合、抗ヒスタミン薬の内服薬を使用することがあります。

 

④食生活での注意点

・ビタミンB群、ビタミンC、亜鉛皮膚の健康維持に必要な栄養素です。バランスの取れた食事を心がけましょう。

・刺激物、脂っこいもの、アルコール皮脂の分泌を増やし、症状を悪化させる可能性があります。控えめにしましょう。

 

⑤日常生活での注意点

・シャンプー低刺激性のシャンプーを選び、爪を立てずに優しく洗いましょう。

・すすぎシャンプーやリンスが残らないように、十分にすすぎましょう。

・乾 燥:洗髪後は、ドライヤーでしっかり乾かしましょう。

・ヘアケアヘアカラーやパーマは、頭皮への刺激となることがあります。頻度を控えめにしましょう。

・睡眠とストレス睡眠不足やストレスは、ホルモンバランスを崩し、症状を悪化させる可能性があります。十分な睡眠とストレス解消を心がけましょう。

 

⑥その他

フケやかゆみが気になる場合は、自己判断せずに皮膚科を受診しましょう。

症状に合わせて、適切な治療薬やケア方法を選ぶことが大切です。

ご自身の症状や頭皮の状態について、気になることがあれば遠慮なくご質問ください。

 

 

 

 

都営新宿線菊川駅より徒歩2分、菊川内科皮膚科クリニックです。

 

 

 

【監修:俊爽会 理事長 小林俊一】

 

投稿者: 菊川内科皮膚科クリニック

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