ピロリ菌について
2023.07.12更新
ピロリ菌についてまとめました
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◆ピロリ菌はどんな菌ですか?
ピロリ菌は正式にはヘリコバクターピロリという細菌で1983年オーストラリアのウォレンとマーシャルによって発見されました。ピロリ菌が胃・十二指腸かいようなどの原因になってることがわかり、ウォレンとマーシャルは2005年にノーベル医学生理学賞を受賞しています。
ヘリコバクターピロリ(通称ピロリ菌)名前の由来は
ヘリコ→らせん・旋回
バクター→バクテリア(細菌)
ピロリ→胃幽門部(ピロルス)
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◆ピロリ菌はどうして胃の中で生きていられるのですか?
胃の中は胃酸が出ているため、通常の菌は死んでしまいます。ピロリ菌は特殊な酵素をもっておりアンモニアを発生して胃酸から身を守っているため胃の中で生きることができます。
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◆ピロリ菌はどのような疾患をおこすのですか?
ピロリ菌に感染すると全員がヘリコバクターピロリ感染胃炎を起こします。ヘリコバクターピロリ感染胃炎は慢性活動性胃炎ともいわれ胃粘膜に多数の白血球の浸潤を伴う胃炎です。ヘリコバクターピロリ感染胃炎は消化性潰瘍、胃MALTリンパ腫、機能性ディスペプシア(FD)、胃ポリープ、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)を引き起こし、萎縮性胃炎を経て一部は胃がんを引き起こすことが知られています。今回ヘリコバクターピロリ感染胃炎に除菌の適応拡大がされたので胃がんを含むヘリコバクターピロリ感染胃炎に基づくほとんどの疾患を抑制できる可能性があります。
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◆ピロリ菌はどのように感染するのですか?
どのように感染するのかははっきりとわかっていませんが口から感染するのが大部分であると考えられています。
衛星環境と関係していることが報告されていて感染する機会はへってきていると考えられています。
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◆ピロリ菌はどのくらいの人が感染しているのですか?
日本人のピロリ菌感染者はおよそ3500万人と言われています。ピロリ菌は特に50歳以上で感染している割合が高いとされています。しかし衛星環境が整ったことによってピロリ菌に感染している割合は減少しており若い世代では低くにっています。今後はますますピロリ菌に感染している人は減っていくと予想されています。
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◆ピロリ菌は胃・十二指腸潰瘍と関係があるのですか?
ピロリ菌は感染すると胃に炎症を起こすことが確認されています。胃・十二指腸潰瘍に患者さんでピロリ菌を検査すると約90%の患者さんがピロリ菌に感染していて、ピロリ菌が胃・十二指腸潰瘍の原因になっていることがわかっています。ピロリ菌がいる場合は1度潰瘍の治療をしても1年後には60%以上の患者さんが再発してしまいます。ピロリ菌を除菌することによって胃・十二指腸潰瘍の再発率は著しく低下することが認められています。
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◆ピロリ菌は胃・十二指腸潰瘍の他にどのような悪さをするのですか?
代表的なものとしては胃がんとの関係性が指摘されています。ピロリ菌に感染している人と感染していない人に対して10年間調査を行ったところ感染している人では2.9%に胃がんが発生したのに対し、感染していない人では胃がんは発生しなかったという研究報告があります。
※保険適用でピロリ菌の検査・除菌治療が行えるのは胃・十二指腸潰瘍、胃MALTリンパ腫、特発性血小板減少性紫斑病、早期胃がんに対する内視鏡的治療後胃、ヘリコバクターピロリ感染胃炎の患者さんです。
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◆早期胃がんで内視鏡的治療をした後に除菌治療をするとどのようなメリットがありますか?
早期胃がんで内視鏡的治療を受けた患者さんの予後は良好です。しかし健康な人と比べると、胃がんの再発リスクは高いと考えられています。ピロリ菌は発がんリスク因子の一つのためピロリ菌に感染している早期胃がんで内視鏡的治療を受けた後の患者さんに除菌を行うことにより3年間のフォローで胃がんの発生が約1/3に抑制され再発を予防する効果があります。
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◆ピロリ菌の検査はどのようにするのですか?
内視鏡検査を伴う方法
・培養法・迅速ウレアーゼ法・組織鏡検法
内視鏡検査を伴わない方法
・尿素呼気試験法・抗体測定法・抗原測定法
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◆ピロリ菌の除菌治療はどのようにするのですか?
2種類の抗生物質と胃酸を抑えるおくすりの3種類のおくすりを朝と夕方の1日2回1週間しっかりと続けてのむことで約70~80%の患者さんはピロリ菌を除菌できます。1回目の除菌治療で除菌ができなかった場合にはおくすりを変えて再度除菌治療を行うことが可能です。2回目の除菌治療では約90%の患者さんで除菌ができます。除菌が成功したかどうかは除菌治療終了後4週間以上あけて検査をすることでわかります。
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