脂肪肝について
2024.02.28更新
脂肪肝についてまとめました
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Q1、脂肪肝ってどんな症状をいうの?
A1、脂肪肝とは、肝細胞に脂肪がたまった状態のことです。
健康な人の肝臓に脂肪はほとんど蓄積していませんが、その量が過剰になった状態を「脂肪肝」と呼びます。
以前は、脂肪のかたまり(脂肪滴)が肝細胞の30%以上に蓄積した状態を指していましたが、最近では5%以上で脂肪肝と診断しています。
肝臓に沈着する脂肪のほとんどは、中性脂肪です。口から入った脂肪は小腸で脂肪酸などに分解され、肝臓に送られて再び中性脂肪に合成されてから全身へ運ばれます。
しかし、合成する量が放出する量より多くなると、肝臓の中に溜まってしまい、脂肪肝となるわけです。
中性脂肪は、脂質だけでなく、余分なブドウ糖からもつくられることから、脂肪だけでなく、糖分の摂り過ぎも脂肪の蓄積につながります。
近年、脂肪肝は年々増加し、健康診断で脂肪肝を指摘される人が増えています。
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Q2、どんなことが原因で脂肪肝になるの?
A2、アルコールか生活習慣が大きな原因です。
脂肪肝は、その原因によって、大きく二つに分けられます。
お酒の飲みすぎによる「アルコール性脂肪肝」とNAFLDと呼ばれる「非アルコール性脂肪肝疾患」です。
一般に脂肪肝は、飲酒によるものと思われているようですが、現在、日本ではアルコール性脂肪肝よりもNAFLDの方が多いと言われています。
年齢別で見ると、男性は中年層、女性は高齢層で多くなっています。
その原因の多くは、肥満や糖尿病、脂質異常症、高血圧などです。
日本人の食生活は、欧米化と飽食で、肝臓の許容量よりも多くの脂肪や糖分を摂っており、さらに、車社会で歩くことが少なくなって、脂肪肝になりやすい環境にあります。
また、逆に過度のダイエットによる極度の飢餓状態でも、脂肪肝は起こるので、特に若い女性は注意が必要です。
このほかの原因としては、ある種の薬剤による肝障害に伴うもの、消化管等の手術後に起こるもの、遺伝的な代謝異常によるものなども挙げられます。
最近では、睡眠無呼吸症候群の人にも脂肪肝が多いことが分かっています。
脂肪肝は身近な病気。飲酒をしないからといって、油断は禁物です。
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Q3、脂肪肝を放置するとどうなるの?
A3、肝炎、肝線維症、肝硬変へと進行する場合も。
通常の脂肪肝であれば、肝臓に炎症が起こったり、肝硬変、肝がんに進行したりするケースは少なく、10年間フォローしても5%以下です。
しかし、アルコール性脂肪肝の場合は、毎日大量にお酒を飲み続けると、確実に肝臓はダメージを受け、アルコール肝炎、肝線維症、肝硬変へと進む恐れがあります。
1日5合以上を10年以上続けている大酒豪はもちろん、男性は1日3合以上を5年以上、女性であれば1日2合以上を5年以上続けている常習飲酒家といわれる人たちも、進行の危険にさらされています。
ただし、お酒を飲まないからといって安心というわけではありません。
NAFLDには、あまり進行しない脂肪肝のNAFL(単純性脂肪肝)と、炎症を伴う進行性の脂肪肝であるNASH(非アルコール性脂肪肝炎)の2種類があるからです。
NASHを発症した場合は、そのままにしておくと炎症がひどくなり、徐々に線維化が進み、肝臓が硬くなっていきます。
そして、10年後には10%~20%の人が肝硬変や肝がんに移行するといわれているので、注意が必要です。
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Q4、NASHはどうして起こるの?
A4、脂肪肝にいくつかの要因が加わって発症します。
NASHが広く認識されるようになったのは、1998年頃。
そのメカニズムなど、明らかになっていない部分もありますが、Q2で触れたよう様々な原因によっておこるNAFLDがNASHに移行するのには、酸化ストレスや生理活性物質の一種である炎症性サイトカイン、鉄の蓄積、脂質の過酸化などの二次的要因と共に体質(遺伝)的要因が加わって起こると考えられています。
NASHは30歳代以降の男性に多くみられ女性は閉経を迎える50歳代頃になると、急激に増える傾向にあります。
男性の場合は、30歳代に入ると太り始め、内臓脂肪がたまりやすくなるためです。
一方、女性は月経で血液と一緒に体外に排出されていた鉄が、閉経により肝臓に蓄積されることと、女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が低下するためです。
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Q5、早期発見のためには、どうすればよい?
A5、年に1度、健康診断を必ず受診しましょう。
肝臓は『沈黙の臓器』と呼ばれる通り、生命活動の大切な役割を果たすために、少々のダメージを受けても、壊れた部分を自力で治しながら黙々と我慢強く働き続けます。
したがって、よほどのことにならない限り、痛みなどは現れず、自覚症状はありません。
肝臓が正常に機能しているかどうかは、健康診断で血液検査や超音波検査を受ければすぐにわかります。
血液から肝機能を診るには20以上の項目を診ます。
中でも代表的なものは、血液中の酵素の量を測定して、肝細胞の破壊の程度を診るAST(GOT)、ALT(GPT)や、肝細胞の障害や短銃の流れ具合を診るγ-GTPです。
脂肪肝の場合、AST、ALT値が共に高くなります。
アルコール性の場合は、ASTがALTよりも高くなり、γ-GTPも上昇します。
また、NAFLDの場合は、ALTがASTよりも高い値を示すのが特徴で、次の項目に該当する人はNAFLDと診断されます。
●アルコール摂取量が男性は1日30g未満(ビール大瓶1本または日本酒1合半)、女性は20g未満。
●ALTがASTよりも高い状態が一定期間続いている。
●肝炎ウイルスなど、他に肝障害の原因がない。
また、腹部の超音波検査では、肝臓に脂肪がたまっていると、白く光って見えるので、すぐに「脂肪肝」と診断できます。
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Q6,NAFLDにならないためにはどうしたらよい?
A6,栄養バランスを重視した食事を心がけましょう。
NAFLDは、肥満や糖尿病などと密接な関係をもっています。
ですから、まずは、肥満と糖尿病にならないように気を付けることが基本です。
食事を中心に日頃の生活習慣を見直してみましょう。
肝臓病の食事療法として知られる「高タンパク、高カロリー」は過去の話。
現代の食生活をベースに考えれば、普通の食事でタンパク質は十分に摂取することができ、カロリーは不足するどころか、過剰摂取の傾向にあります。
何も食事制限をする必要はありません。
次のことを心掛けて、1日3食バランスよく食べることが大切です。
●1品の量を少なくする。
●なるべく多くの食品をメニューに取り入れる。
●異なる調理法のものを組み合わせる。
大豆など脂質が少ない食品が中心で、食材や調理法がバラエティに富み、主食、主菜、副菜で構成される和食は、塩分の摂り過ぎに留意すれば、肥満解消に最適です。
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