かゆみ
「かゆみとは?」
かゆみとは、皮膚をかきたくなるような不快な感覚のことです。皮膚の表面や内部で何らかの刺激が神経を通じて脳に伝わると、「かゆい」と感じます。
かゆみが起こる原因
原因はさまざまですが、大きく分けて以下のようなものがあります。
乾燥:皮膚が乾燥すると、バリア機能が低下し、かゆみを感じやすくなります。特に冬場や高齢の方に多く見られます。
アレルギーや炎症:アトピー性皮膚炎やじんましんなど、アレルギー反応によってかゆみが起こることがあります。
外部からの刺激:虫刺されや植物、化学物質(洗剤や化粧品など)による刺激でもかゆみが出ます。
神経や内臓の異常:糖尿病や肝臓・腎臓の病気など、皮膚以外の原因で起こることもあります。
かゆみの種類
かゆみにはいくつかのタイプがあります。
・急性のかゆみ:突然始まり、比較的短期間で治まるかゆみ。虫刺されやじんましんなどが代表です。
・慢性的なかゆみ:長期間続くかゆみで、アトピー性皮膚炎や乾燥肌などにみられます。
・局所的なかゆみ:体の一部に限定して起こるかゆみ。たとえば、足のすねだけ、頭皮だけなど。
・全身のかゆみ:全身がむずむずするようなかゆみ。肝臓・腎臓疾患、薬の副作用、加齢などが原因となることもあります。
かゆみを引き起こす主な疾患
かゆみは多くの病気に伴って現れる症状です。以下はよく見られるものです。
アトピー性皮膚炎:かゆみを伴う慢性的な炎症性皮膚疾患。乳幼児から大人まで幅広く見られます。
じんましん:突然、膨らんだ赤い発疹(膨疹)が出て強いかゆみを伴います。数時間で消えることもあります。
乾燥性皮膚炎(皮脂欠乏性湿疹):特に冬場に多く、肌がカサカサして粉をふいたようになり、かゆくなります。
虫刺され:蚊やダニ、ノミなどによって皮膚が刺激されてかゆみが起こります。
皮膚カンジダ症・水虫:真菌(カビ)の感染によってかゆみが出ます。
内臓の病気:肝硬変や慢性腎不全、糖尿病などでも全身にかゆみが出ることがあります。
「かゆみを和らげるために自分でできる対処法は?」
かゆみを軽くするために、次のようなセルフケアが効果的です。
肌の保湿:乾燥が原因のかゆみには、保湿剤(ヒルドイドやワセリンなど)を1日2回以上塗ることが大切です。
かかない工夫:爪を短く切っておく、冷やす、保護ガーゼを当てるなどして、掻きむしることを防ぎましょう。
刺激を避ける:熱いお風呂、アルコール、香料の強い化粧品、ウール素材の衣類など、皮膚に刺激になるものを避けましょう。
入浴方法の見直し:ぬるめ(38〜40℃)のお湯に短時間入り、石けんの使用は控えめに。洗いすぎに注意です。
規則正しい生活:睡眠不足やストレスもかゆみを悪化させます。十分な睡眠とストレス対策が大切です。
「受診をした方が良い場合は?」
以下のような場合には、皮膚科の受診をおすすめします。
・かゆみが2週間以上長引いている
・掻きむしって皮膚が傷ついている、ジュクジュクしている
・発疹や赤み、水ぶくれなどがある
・市販薬や保湿で改善しない
・夜も眠れないほどの強いかゆみがある
・全身にかゆみがあり、発熱・だるさなど全身症状がある
このような症状があれば皮膚科の受診をお勧めします。
「どのような検査が必要で、何を調べる?」
皮膚科では、必要に応じて以下のような検査を行うことがあります。
・視診・問診:皮膚の状態やかゆみの出方を観察し、日常生活の習慣や既往歴を確認します。
・アレルギー検査:血液検査や皮膚テストでアレルギーの原因を調べます。
・血液検査:肝臓・腎臓の機能や糖尿病、炎症の有無など全身の状態を確認します。
・皮膚の一部を取って調べる(皮膚生検):診断が難しい場合に行うことがあります。
・真菌検査:水虫などの可能性があるとき、皮膚の表面を顕微鏡で確認します。
・血液検査(IgE抗体、TARCなど):アレルギー体質や重症度の評価
・アレルゲン検査:原因となるアレルギー物質の特定
・皮膚生検:皮膚の状態や他の疾患との鑑別のため行われる検査
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こちらの検査は、当院でも行っている検査となります。
「どのような診断と治療が行われる?」
診断は、症状や検査結果から総合的に行います。
治療法は原因により異なりますが、以下がよく使われます。
外用薬:ステロイド外用薬、保湿剤、抗ヒスタミン外用薬など。
内服薬:かゆみ止め(抗ヒスタミン薬)、アレルギーを抑える薬、必要に応じてステロイドの内服。
ライフスタイルの指導:生活習慣やスキンケアの方法を一緒に見直します。
紫外線治療や免疫抑制剤:重症のアトピーなどに対して、必要に応じて行います
「どのような診察が行われるの?」
診察では以下のようなことを確認します。
・いつから、どこに、どんなかゆみがあるか
・日常生活や環境に変化がなかったか
・使用中の薬やスキンケア用品
・家族歴や過去のアレルギー歴
・皮膚の状態の視診(赤み、乾燥、湿疹、ひっかき傷の有無など)
必要に応じて追加の検査を行い、原因を詳しく調べます。
最後に…
かゆみは一見軽い症状のように思われがちですが、生活の質を大きく下げることもあります。
我慢していると皮膚を傷つけて悪化したり、原因となる病気を見逃したりする可能性もあります。
早めに皮膚科を受診し、正しい診断と治療を受けることが大切です。
日常のスキンケアや生活習慣を見直すだけでも、かゆみはかなり軽減することがありますので、気になる方は当院までご相談ください。