皮脂欠乏性湿疹

「皮脂欠乏性湿疹とは?」

皮脂欠乏性湿疹(ひしけつぼうせいしっしん)は、肌が乾燥することで起こりやすくなる湿疹の一種です。「乾燥性湿疹」や「老人性乾皮症」とも呼ばれることがあり、高齢の方に多くみられますが、年齢を問わず誰でもかかる可能性があります。かゆみが強く、生活の質にも影響が出やすいため、早めの対処が大切です。

皮脂欠乏性湿疹が起こる原因

私たちの皮膚には、皮脂や水分が適度に保たれることで、外の刺激から守るバリアのような働きがあります。しかし、加齢や環境の変化、生活習慣などにより、このバリア機能が弱まると、肌が乾燥しやすくなり、湿疹が起きることがあります。
冬の寒い時期やエアコンの効いた室内では、空気が乾燥しやすく、肌の水分が奪われやすくなります。また、体を洗いすぎたり、熱いお湯で入浴したりすると、皮膚に必要な皮脂まで落ちてしまい、乾燥を引き起こすこともあります。

皮脂欠乏性湿疹の種類

皮脂欠乏性湿疹は、以下のような形であらわれることがあります。

・初期の乾燥のみの状態:肌がカサカサしたり、白い粉がふいたようになったりすることがあります。まだ炎症は少ない状態です。

・湿疹を伴う状態:かゆみとともに赤みが出て、皮膚がひび割れたり、掻き壊してジュクジュクしてくることもあります。

・慢性化した状態:長く続くと、皮膚がごわごわと硬くなったり、色が変わってくることもあります。

症状はすねや腕、腰回りなど、乾燥しやすい部位に出やすくなります。

皮脂欠乏性湿疹を引き起こす主な疾患

乾燥しやすい体質だけでなく、ほかの病気や状態が関係することもあります。

 

・アトピー性皮膚炎:もともと皮膚のバリア機能が弱い方は、乾燥から湿疹が出やすくなります。

 

・糖尿病や腎臓病:体内の水分バランスが崩れやすく、肌の乾燥を引き起こすことがあります。

 

・甲状腺機能低下症:代謝の低下によって皮膚が乾きやすくなります。

 

・高齢者:加齢とともに皮脂や汗の分泌が減るため、乾燥肌になりやすくなります。

「皮脂欠乏性湿疹を和らげるために自分でできる対処法は?」

日常生活でできるケアによって、症状を和らげたり再発を防いだりすることができます。

・保湿をしっかり行う:入浴後はできるだけ早く、保湿剤(ローションやクリーム)を塗りましょう。乾燥が気になる部位は1日数回の保湿が効果的です。

・洗いすぎに注意する:ナイロンタオルやボディブラシなどで強くこすらないようにしましょう。石けんの使いすぎも肌を乾燥させる原因になります。

・入浴時のお湯の温度に注意する:熱すぎるお湯は皮脂を流してしまいやすいため、ぬるめ(38~40℃程度)のお湯にしましょう。

・衣類や環境の工夫:ウール素材や化学繊維は刺激になることがあります。綿などの肌にやさしい素材の服を選ぶようにしましょう。また、加湿器などで室内の湿度を保つことも大切です。

「受診をした方が良い場合は?」

次のような症状があるときは、早めに皮膚科を受診することをおすすめします。

・保湿をしてもかゆみや赤みが治まらない

・掻いてしまってジュクジュクしている

・広い範囲に症状が出ている

・夜もかゆくて眠れない

・皮膚がひび割れて痛みがある

症状が長引くと、治るまでに時間がかかったり、色素沈着などの痕が残ったりすることもあるため、早めの対処が大切です。
上記症状は当院でも治療可能です。このような症状があれば菊川内科皮膚科クリニックまでお気軽にご相談ください。

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「どのような検査が必要で、何を調べる?」

通常は診察で皮膚の状態を観察することで診断がつくことが多いですが、以下のような検査が行われることもあります。

・皮膚の観察(視診):乾燥の程度や湿疹の広がりを見て判断します。

・問診:生活習慣や使っている石けん・ボディソープなどについてお聞きします。

・必要に応じて血液検査:アトピーや糖尿病など、ほかの病気が関係していないかを調べることもあります。

・血液検査(IgE抗体、TARCなど):アレルギー体質や重症度の評価

・アレルゲン検査:原因となるアレルギー物質の特定

必要に応じて皮膚の状態や他の疾患との鑑別のための検査を行います。

当院では1回の採血で39項目のアレルギー項目を調べることができます。

View39(ビューサンキュー)は、一度の採血で39種類ものアレルギーの原因物質をまとめて調べることができる血液検査です。

 

View39では、主に以下の2つのタイプのアレルゲン(アレルギーの原因物質)を調べることができます。

 

1. 吸入系・その他(環境アレルゲン):19項目

o 室内塵: ヤケヒョウヒダニ、ハウスダスト
o 動物: ネコ皮屑、イヌ皮屑
o 昆虫: ガ、ゴキブリ
o 樹木花粉: スギ、ヒノキ、ハンノキ、シラカンバ
o イネ科花粉: カモガヤ、オオアワガエリ
o 雑草花粉: ブタクサ、ヨモギ
o カビ: アルテルナリア(ススカビ)、アスペルギルス(コウジカビ)、カンジダ、マラセチア
o その他: ラテックス(天然ゴム)
これらは、くしゃみ、鼻水、目の痒みなどの花粉症や鼻炎の症状、喘息、アトピー性皮膚炎などに関係するアレルゲンです。

 

2. 食物系(食物アレルゲン):20項目

o 卵: 卵白、オボムコイド(加熱した卵でも反応するかどうかの指標)
o 牛乳: ミルク
o 小麦
o 豆・穀物・ナッツ類: ピーナッツ、大豆、ソバ、ゴマ、米
o 甲殻類: エビ、カニ
o 果物: キウイ、リンゴ、バナナ
o 魚・肉類: マグロ、サケ、サバ、牛肉、鶏肉、豚肉

 

これらは、食べた後にじんましん、かゆみ、お腹の症状などが出る食物アレルギーに関係するアレルゲンです。

 

View39は、アレルギーの原因を効率的に特定し、今後の生活改善や治療のヒントを得るための便利な検査と言えるでしょう。

「どのような診断と治療が行われる?」

皮脂欠乏性湿疹と診断された場合、次のような治療が行われます。

・保湿剤の処方:肌のバリア機能を補うために、ヘパリン類似物質や尿素入りの保湿剤などを使います。

・かゆみを抑える薬の塗布:湿疹が出ている部分には、ステロイド外用薬や非ステロイド系の消炎剤を使うこともあります。

・抗ヒスタミン薬の内服:かゆみが強い場合、飲み薬でかゆみを和らげることもあります。

・原因となる生活習慣の見直し:入浴方法や衣類、室内環境などのアドバイスも行います。

治療によってほとんどの場合、症状は改善していきますが、再発しやすいため継続したスキンケアが大切です。

最後に…

皮脂欠乏性湿疹は、乾燥する季節に多く見られる身近な皮膚のトラブルですが、かゆみが強く、掻き壊して悪化してしまうこともあるため、軽く見ずにきちんと対処することが大切です。日常のスキンケアと生活環境の工夫によって、症状を軽くすることができる場合も多くあります。
もしご自身で対処しても改善しない場合や、かゆみがつらいと感じる場合は、遠慮なく当院までご相談ください。

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