アトピー性皮膚炎
「アトピー性皮膚炎とは?」
アトピー性皮膚炎は、皮膚のバリア機能が弱い体質の方に多く見られる、かゆみを伴う湿疹が繰り返し出る慢性的な皮膚の病気です。皮膚が乾燥しやすく、外からの刺激やアレルギー物質(アレルゲン)に対して過敏に反応しやすいのが特徴です。
症状の特徴
・強いかゆみ
・赤みのある湿疹やブツブツ
・ジクジクしたり、皮がむけたりする
・皮膚が硬くゴワゴワになることも
・症状は良くなったり悪くなったりを繰り返します
アトピー性皮膚炎が起こる原因
主な原因は「体質」と「環境」の2つが重なって発症します。
体質的な要因:皮膚のバリア機能が弱く、アレルギーを起こしやすい体質(アトピー素因)
環境的な要因:ダニやハウスダスト、花粉、汗、ストレス、食物など、さまざまな刺激やアレルゲン
アトピー性皮膚炎の症状が悪化する主な原因
アトピー性皮膚炎の悪化には、さまざまな要因が複雑に関係しています。主な悪化要因は以下の通りです。
・皮膚への刺激:汗や唾液、衣類や髪の毛の摩擦、かきむしりなど、日常生活での皮膚への物理的な刺激が悪化の原因となります。
・乾燥した環境:空気が乾燥していると皮膚のバリア機能が低下し、かゆみや発疹が悪化しやすくなります。特に冬場やエアコン使用時は注意が必要です。
・アレルギー物質(アレルゲン):ダニ、ハウスダスト、花粉、ペットの毛などの環境アレルゲンや、特定の食物アレルゲンが症状を悪化させることがあります。
・化学物質や接触アレルギー:洗剤、化粧品、シャンプー、金属などに対する接触アレルギーも悪化要因となります。
・細菌や真菌の感染:皮膚に存在する黄色ブドウ球菌や真菌(カビ)が増殖すると、炎症やかゆみが悪化することがあります。
・汗や発汗:汗そのものや、汗をかいた後のケア不足が刺激となり、症状が悪化しやすくなります。夏場は特に注意が必要です。
・紫外線や日焼け:紫外線による皮膚のバリア機能低下や炎症の悪化も原因となります。
・ストレスや精神的負荷:進学や受験、就職などの環境変化や日常のストレスも、アトピー性皮膚炎の悪化に大きく関与します。
・不規則な生活や睡眠不足:生活リズムの乱れや睡眠不足も悪化の一因となります。
これらの要因は人によって異なり、複数が重なって悪化することもあります。悪化要因を知り、日常生活での対策を心がけることが大切です。
アトピー性皮膚炎の種類
発症年齢によって大きく3つに分けられます。
乳児型:生後数か月から1歳半ごろまで。顔や頭、首、背中などに湿疹が出やすい
小児型:2歳ごろから思春期まで。首や肘・膝の内側などに多く、全身の乾燥も目立ちます
成人型:思春期以降に発症、または再発。顔や首、体幹に湿疹が出やすく、治りにくい傾向
アトピー性皮膚炎の発生部位ごとの特徴
乳児:顔、頭、首、背中、おむつ周り
小児:首、肘・膝の内側、手足
成人:顔、首、体幹、手足など
湿疹は左右対称に出ることが多いです。
アトピー性皮膚炎を引き起こす主な疾患
アトピー性皮膚炎自体が主な疾患ですが、アレルギー性鼻炎、気管支喘息、アレルギー性結膜炎など、他のアレルギー疾患と併発することがよくあります。
「アトピー性皮膚炎の症状を和らげるために自分でできる対処法は?」
・保湿剤を毎日しっかり塗る
・皮膚を清潔に保つ(ぬるめのシャワーや石けんの使いすぎに注意)
・汗をかいたら早めに拭き取る・着替える
・爪を短く切り、掻き壊しを防ぐ
・規則正しい生活とバランスの良い食事
・ストレスをためない工夫
「受診をした方が良い場合は?」
・かゆみや湿疹が長引く、または悪化している
・市販薬や自己ケアで改善しない
・皮膚がジュクジュクしたり、痛みや発熱を伴う
・日常生活に支障が出ている
このような場合は、早めに皮膚科を受診しましょう。
「どのような診察が行われるの?」
・皮膚の状態や湿疹の分布、重症度の確認
・生活習慣や環境、家族歴の聞き取り
・必要に応じて検査を追加
・治療やスキンケアのアドバイス
「どのような検査が必要で、何を調べる?」
・血液検査(IgE抗体、TARCなど):アレルギー体質や重症度の評価
・アレルゲン検査:原因となるアレルギー物質の特定
必要に応じて皮膚の状態や他の疾患との鑑別のための検査を行います。
View39(ビューサンキュー)
View39(ビューサンキュー)は、一度の採血で39種類ものアレルギーの原因物質をまとめて調べることができる血液検査です。
「もしかしてアレルギーかも?」と感じているけれど、何が原因かわからない、といった場合に、効率的にアレルギーの原因を特定するための検査として注目されています。
View39では、主に以下の2つのタイプのアレルゲン(アレルギーの原因物質)を調べることができます。
吸入系・その他(環境アレルゲン):19項目
室内塵: ヤケヒョウヒダニ、ハウスダスト
動物: ネコ皮屑、イヌ皮屑
昆虫: ガ、ゴキブリ
樹木花粉: スギ、ヒノキ、ハンノキ、シラカンバ
イネ科花粉: カモガヤ、オオアワガエリ
雑草花粉: ブタクサ、ヨモギ
カビ: アルテルナリア(ススカビ)、アスペルギルス(コウジカビ)、カンジダ、マラセチア
その他: ラテックス(天然ゴム)
これらは、くしゃみ、鼻水、目の痒みなどの花粉症や鼻炎の症状、喘息、アトピー性皮膚炎などに関係するアレルゲンです。
食物系(食物アレルゲン):20項目
卵: 卵白、オボムコイド(加熱した卵でも反応するかどうかの指標)
牛乳: ミルク
小麦
豆・穀物・ナッツ類: ピーナッツ、大豆、ソバ、ゴマ、米
甲殻類: エビ、カニ
果物: キウイ、リンゴ、バナナ
魚・肉類: マグロ、サケ、サバ、牛肉、鶏肉、豚肉
これらは、食べた後にじんましん、かゆみ、お腹の症状などが出る食物アレルギーに関係するアレルゲンです。
View39はどんな人におすすめ?
・原因不明のくしゃみ、鼻水、皮膚症状(じんましん、かゆみなど)がある方
・特定の季節に体調を崩しやすい方(花粉症の可能性)
・特定の食べ物を食べた後に体調が悪くなる方
・アレルギーの可能性を一度に幅広く調べたい方
・ペットを飼い始めてから症状が出るようになった方
View39は、アレルギーの原因を効率的に特定し、今後の生活改善や治療のヒントを得るための便利な検査と言えるでしょう。菊川内科皮膚科クリニックでも行っている検査となります。
「どのような診断と治療が行われるの?」
診断は、症状・経過・家族歴・発生部位などを総合的に判断します
治療は、主にステロイド外用薬や保湿剤が基本です
状態に応じて、抗アレルギー薬や免疫抑制剤、光線療法などを行うこともあります
患者さんの年齢や症状に合わせて、治療方法を選択します
エキシマレーザー治療
当院では光線療法(エキシマレーザー)を導入しております。
エキシマレーザーは、特定の皮膚疾患の治療に用いられる特殊なレーザーで、特に尋常性白斑や乾癬、アトピー性皮膚炎、円形脱毛症などの難治性皮膚疾患の治療に効果を発揮します。
エキシマレーザー治療の特徴
高い治療効果: 治療に有効な波長のみを高出力で照射するため、高い効果が期待できます。
短時間での治療: 照射時間が短いため、患者の負担が少ないです。
ピンポイント照射: 正常な皮膚への影響を最小限に抑え、副作用のリスクを軽減できます。
保険適用: 上記の疾患に対しては保険診療で治療が受けられます。
最後に…
アトピー性皮膚炎は、長く付き合う必要のある病気ですが、適切な治療とスキンケアで症状をコントロールすることができます。つらいときは一人で悩まず、お気軽に菊川内科皮膚科クリニックまでご相談ください。