胃もたれについて】

胃もたれとは、食べたものが消化されず、いつまでも胃に残っているように感じる症状です。具体的には以下のような症状が現れます。

  • 胃が重く感じる

  • 胃が気持ち悪い

  • 膨満感がある

  • げっぷが出る


これらの症状は、消化の悪いものを食べた場合だけでなく、胃の働きや自律神経の乱れによっても起こることがあります。

原因

胃もたれには様々な原因がありますが、主なものとして以下が挙げられます。

1. 加齢

年齢を重ねるにつれて、胃の機能が低下することがあります。胃のぜん動運動が弱くなり、食べ物の消化に時間がかかるようになります。また、高齢になると胃の粘膜を守る血流が低下し、胃の不調を引き起こすこともあります。

2. ストレス

ストレスは自律神経のバランスを乱し、胃の働きを低下させる原因となります。自律神経は胃の機能をコントロールしているため、ストレスによってその働きが乱れると、食べ物の消化や小腸への送り出しが上手くいかなくなります。

3. 食べ過ぎ・飲み過ぎ

特に消化の悪い脂っこい食事を食べ過ぎると、胃に長時間とどまることになり、胃への負担が大きくなります。また、アルコールの飲み過ぎは胃の粘膜を傷つけ、胃もたれの原因となります。

4. 胃の機能低下

加齢や運動不足などにより、胃のぜん動運動が弱くなることがあります。これにより、食べ物が胃に長時間たまり、胃もたれが起こりやすくなります。

5. 自律神経の乱れ

胃の働きは自律神経によってコントロールされています。自律神経の働きが乱れると、胃の機能をうまく制御できなくなり、胃もたれが起こります。

6. ピロリ菌感染

ピロリ菌感染によって胃もたれが現れる場合もあります。ピロリ菌が生成するアンモニアなどの有害物質が胃に影響を及ぼすことで、胃もたれが起こります。

7. 女性ホルモンの影響

女性の場合、月経周期に伴う女性ホルモンの変動によって胃もたれが起こることがあります。

症状

胃もたれの症状は年齢によって異なる傾向があります。年代別の特徴は以下の通りです。

20代まで

  • 胃腸の働きは比較的良好で、深刻な胃もたれは少ない傾向にあります。

  • しかし、不規則な生活リズムや偏った食生活により、胃もたれを経験することがあります

30~40代まで

  • ホルモンバランスの変化や腸内善玉菌の減少により、大腸の動きが低下し始めます。

  • 特に女性は、育児や家事のストレス、運動不足により胃もたれを感じやすくなります。

  • この年代から胃の不調を感じ始める人が多く、平均39歳頃から胃の変調を自覚し始めます。

50代以降

  • 全身の筋肉の衰えや運動量の減少により、胃腸の動きが鈍くなり、胃もたれを感じやすくなります。

  • 加齢による胃の粘膜萎縮、胃酸分泌の低下、胃の弾力性の低下が進みます。

  • 胃のぜん動運動が弱まり、食べ物を小腸へ運ぶ能力が低下します。



年齢を重ねるにつれて、胃の機能低下が進むため、胃もたれの症状が現れやすくなります。また、加齢に伴う生活習慣の変化も胃もたれの原因となることがあります。

検査

胃もたれの症状がある場合、以下の検査が一般的に行われます

1. 問診

まず、医師が患者の症状や生活習慣について詳しく聞き取りを行います。これにより、胃もたれの原因や重症度を推測し、適切な検査方法を選択します。

2. 胃内視鏡検査(胃カメラ)

最も重要で一般的な検査方法です。
この検査では

  • 食道、胃、十二指腸の粘膜を直接観察できます。

  • 早期胃がんや食道がん、十二指腸がんなどの発見が可能です。

  • 必要に応じて組織を採取し、病理検査やピロリ菌感染の有無を確認できます。

3. 大腸内視鏡検査(大腸カメラ)

胃と腸は繋がっているため、腹部膨満症状がある方や便秘の方は、胃もたれ症状を併発する場合があります。長期間症状が持続する方は大腸内視鏡検査もお勧めしています。

4. 血液検査

胃もたれの原因となる疾患や炎症の有無を調べるために行われます。

5. 超音波検査

腹部の臓器の状態を確認するために実施されることがあります。胃腸以外の周辺臓器の異常によっても胃もたれ症状を起こす場合があるため確認します。

6. 腹部CT検査・MRI検査

腹部超音波検査と同様に周辺臓器を含め確認します。費用が超音波検査より高額であったり、CTは被爆するリスクもある為、症状が重い方や長期間持続する方に対して行います。



これらの検査結果を総合的に判断し、専門医が正確な診断を行います。胃もたれの症状が持続する場合や、原因不明の場合は、特に胃カメラ検査が重要となります。これにより、胃がんなどの重大な疾患を早期に発見し、適切な治療につなげることができます。当院では最新の内視鏡を導入しておりますので痛みも少なく、鎮静剤も使用することができます。

治療法

◎胃もたれの予防と対策
胃もたれを予防し、症状を軽減するためには、以下のような対策が効果的です。

1. 食事の改善

  • 腹八分目を心がける

  • 就寝の数時間前に食事を済ませる

  • 動物性脂肪や脂っこいもの、甘いものを控える

  • 香辛料の多用を避ける

  • 食物繊維を適度に摂取する(ただし取り過ぎに注意)

2. 生活習慣の改善

  • 適度な運動を行う(例:いつもより長めに歩く)

  • 3食を規則正しく摂取し、可能であれば食後に30分程度の食休みをとる

  • 十分な睡眠をとる

  • 入浴時にゆっくり浴槽に浸かり、体を芯から温める(冷え解消に効果的)

3. ストレス管理

ストレスを上手に解消できる方法を見つける
→ただし、タバコやアルコールは胃に負担をかけるため、控えるようにしましょう。

4. 定期的な検査

ピロリ菌感染の有無を確認するため、定期的に検査を受けることをおすすめします。感染が確認された場合は、医師の指示に従って除菌治療を受けましょう。

◎胃もたれが続く場合の対処法
胃もたれが慢性的に続く場合は、以下のような対応が必要です。

1. 医療機関の受診
詳しい症状や胃もたれが起こるタイミング、既往症や服薬などについて医師に相談しましょう。必要に応じて、血液検査や内視鏡検査、超音波検査などが行われます。

2. 薬物療法
胃の働きを促進する薬を使用する場合があります。ただし、薬の使用は医師の指示に従いましょう。

3. ピロリ菌の除菌治療
ピロリ菌感染が確認された場合、除菌治療を受けることをおすすめします。通常、胃酸の分泌を抑える薬と抗菌薬を7日間服用します。

4. 食事療法
医師や管理栄養士の指導のもと、適切な食事療法を行います。個人の症状や体質に合わせた食事プランを立てることが重要です。

日常生活での注意点

◎胃もたれに効果的な食品
胃もたれの症状を和らげるのに効果的な食品があります。

  • バナナ: 消化が良く、胃粘膜を保護する効果があります。

  • ヨーグルト: 乳酸菌が腸内環境を整え、消化を助けます。

  • 生姜: 胃の動きを活発にし、消化を促進します。

  • オートミール: 食物繊維が豊富で、消化器系の調子を整えます。

  • パパイヤ: 消化酵素を含み、タンパク質の消化を助けます

胃もたれに効果的な食品を使った1日分の具体的な献立

胃もたれに効果的な食品を使った1日分の具体的な献立をご紹介します。これらの食事は消化に優しく、胃腸への負担を軽減することを目的としています。


☆朝食
・水分がやや多めのおかゆ
・バナナヨーグルト
・温かい緑茶

おかゆは胃に優しく、消化が良い食べ物です。バナナは消化が良く、胃粘膜を保護する効果があります。ヨーグルトの乳酸菌は腸内環境を整えます。

☆昼食
・鶏ささみと大根おろしのうどん
・キャベツのさっと煮
・すりおろしりんご

うどんは消化が良く、胃腸に負担をかけません。鶏ささみは脂肪が少なく消化が良い食材です。大根おろしに含まれる消化酵素ジアスターゼは胃もたれを防ぎます。キャベツに含まれるキャベジンは過剰な胃酸の分泌を抑えます。りんごは消化吸収が良い果物です。

☆夕食
・白身魚(鯛など)の酒蒸し
・豆腐と白菜の優しいスープ
・蒸し野菜(かぶ、にんじん)
・少量の白飯

白身魚は脂肪が少なく、消化が良い食材です。蒸し調理は胃への負担を軽減します。豆腐は消化が早く、白菜は水分が多く消化に良い野菜です。かぶとにんじんは胃腸に優しい野菜です1。

☆間食(必要な場合)
・オートミール
・温かい生姜茶

オートミールは食物繊維が豊富で消化器系の調子を整えます。生姜は胃の動きを活発にし、消化を促進します。
この献立は、消化に良い食材を中心に構成されており、胃もたれの症状を和らげるのに効果的です。ただし、個人の体調や好みに合わせて適宜調整してください。また、食事の際はゆっくりよく噛んで食べることも大切です。

胃もたれになった時に避けた方がよい献立

胃もたれになった時に避けた方がよい献立を紹介します。これらの食事は消化に悪く、胃への負担が大きいため、胃もたれの症状を悪化させる可能性があります。

☆朝食
・目玉焼きとベーコン
・全粒粉パン
・コーヒー

目玉焼きは消化が悪く、ベーコンは脂肪分が多いため胃に負担をかけます。全粒粉パンは食物繊維が多く消化に時間がかかります。コーヒーはカフェインを含み、胃を刺激します。

☆昼食
・豚バラ肉の唐揚げ
・ごぼうサラダ
・キムチ
・玄米ご飯

豚バラ肉は脂肪分が多く、唐揚げは油を多く使用するため消化に悪いです。ごぼうは食物繊維が多く消化に時間がかかります。キムチは香辛料と酸味が強いため胃を刺激します。玄米は消化に時間がかかります。

☆夕食
・スパゲッティカルボナーラ
・フライドポテト
・コールスロー
・グレープフルーツ
・赤ワイン

スパゲッティは消化に悪く、カルボナーラソースは脂肪分が多いです。フライドポテトは油を多く使用し消化に悪いです。コールスローのキャベツは腸が膨らむ可能性があります。グレープフルーツは酸味が強く胃を刺激します。アルコール飲料は胃に負担をかけます。

☆間食
・ナッツ類
・ドライフルーツ
・炭酸飲料

ナッツ類は消化に悪く、ドライフルーツは消化に時間がかかります。炭酸飲料は糖質が多く胃を刺激します。
この献立は胃もたれの症状を悪化させる可能性が高いため、胃の調子が悪い時は避けるべきです。代わりに、消化の良い食材を使用し、刺激の少ない調理法を選ぶことが重要です。

最後に

胃もたれは、加齢、ストレス、食生活の乱れなど、様々な要因によって引き起こされます。予防と対策には、適切な食事管理、規則正しい生活習慣、ストレス管理が重要です。慢性的な胃もたれに悩む場合は、医療機関を受診し、適切な治療を受けることが大切です。管理栄養士として、個々人の生活習慣や体質に合わせた食事指導を行うことで、胃もたれの予防や改善に貢献できると考えています。胃もたれは確かに不快な症状ですが、適切な食生活と生活習慣の改善で十分に対処できます。まずは、ご自身の体調に耳を傾け、胃に優しい食事を心がけることから始めましょう。
消化の良い食材を選び、蒸す、茹でるなどの調理法を取り入れることで、胃への負担を軽減できます。例えば、お粥やうどん、白身魚、豆腐などは胃に優しい食品です。これらを取り入れることで、栄養バランスを保ちながら胃もたれを予防できます。また、食事の際はゆっくりとよく噛んで食べることを意識してください。これにより消化を助け、胃の負担を軽減できます。食事の前に白湯を飲むのも効果的です。胃の働きを整え、消化を促す効果が期待できます。
日々の生活では、規則正しい食事時間を心がけ、適度な運動を取り入れることで胃腸の調子を整えることができます。ストレス解消法を見つけるのも大切です。
胃もたれを完全に防ぐことは難しいかもしれませんが、これらの方法を少しずつ取り入れることで、症状を軽減し、快適な毎日を送ることができます。自分の体調に合わせて、無理のない範囲で実践してみてください。

当院では鎮静剤を使って、
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~ 医療法人社団 俊爽会 理事長 小林俊一 監修 ~

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