シミなどの変色がある~シミ、白斑について~
変色について~
皮膚の変色には多くの原因がありますが、大きく分けて色素の異常、血管の異常、その他の物質の沈着に分類できます。
色素の異常
○メラニン色素の増加(シミ、黒ずみ):
・そばかす(雀卵斑): 小さな褐色の斑点。遺伝的要素が強く、日光暴露で増悪します。
・肝斑(かんぱん): 頬骨あたりに左右対称に現れる地図状の薄茶色のシミ。女性に多く、ホルモンバランスや紫外線が関係します。
・老人性色素斑(日光黒子): 日光に当たる部位にできる比較的境界明瞭なシミ。加齢とともに増加します。
・炎症後色素沈着: ニキビや湿疹、火傷などの炎症後に一時的に色素が沈着したものです。
・ADM(後天性真皮メラノサイトーシス): 両側の頬や額などにできる青みを帯びたあざ。成人になってから現れます。
・アトピー性皮膚炎などによる色素沈着: 慢性的な炎症や掻爬によって皮膚の黒ずみ。
○メラニン色素の減少(白斑):
・尋常性白斑: 自己免疫疾患が関与すると考えられ、全身の皮膚に白い斑点が広がります。
・脱色素性母斑: 生まれつき皮膚の一部に色素がない白いあざ。
・炎症後白斑: 皮膚の炎症後に一時的に色素が抜けることがあります。
血管の異常
○血管の拡張・増殖(赤み、紫色):
・毛細血管拡張症: 細い血管が浮き出て見える。顔面などに多い。
・単純性血管腫(ポートワイン母斑): 生まれつきある赤から紫色の平らなあざ。
・いちご状血管腫(乳児血管腫): 乳児期に発生する赤く盛り上がった血管腫。自然に退縮することも多いです。
・静脈湖: 唇や耳などにできる青みがかった柔らかいしこり。
・紫斑(皮下出血): 血管から血液が漏れ出し、皮膚の下に溜まってできる赤紫色の斑点。打撲、薬剤、血液疾患などが原因です。
その他の物質の沈着
○ 薬物による変色:
・一部の薬剤(例:ミノサイクリン、アミオダロンなど)の長期服用により、皮膚が青みがかったり、灰色になったりすることがあります。
○金属の沈着:
・タトゥーの色素、または体内の金属(例:銀、鉛など)の蓄積により皮膚が変色することもあります。
シミ・白斑は、どのような病気?
シミは、簡単に言うと「皮膚に色素がつきすぎて茶色や黒っぽい斑点ができること」です。
白斑(はくはん)は、「皮膚の色が部分的に白く抜けてしまう病気」です。シミとは逆に、色素が不足したりなくなったりすることで起こります。
シミ・白斑ができる主な原因は?
シミの主な原因は、紫外線です。紫外線から肌を守るために、皮膚の中にある「メラノサイト」という細胞が「メラニン色素」を作り出します。通常、メラニン色素は肌のターンオーバー(新しい皮膚が生まれて古い皮膚がはがれ落ちるサイクル)によって排出されますが、過剰に作られたり、うまく排出されなかったりすると、皮膚にたまってシミとして現れます。
白斑ができる主な原因は、まだ完全には解明されていませんが、現在では自己免疫の異常が主な原因ではないかと考えられています。これは、本来であれば体を守るはずの免疫システムが、誤って自分のメラノサイトを攻撃・破壊してしまうことで起こるとされています。
・ストレス: 慢性的・過大なストレスが白斑の拡大や悪化につながる可能性が指摘されています。
・遺伝的要因: 遺伝的な素因があると考えられています。
・病気の合併: 甲状腺疾患(甲状腺機能亢進症、甲状腺機能低下症など)、悪性貧血、糖尿病などの自己免疫疾患を合併することがあります。
どのような検査が必要で、何を調べる?
シミの診断においては、特殊な拡大鏡(ダーモスコープ)を用いたダーモスコピー検査が悪性腫瘍との鑑別に役立ちます。
鑑別が難しい場合や、悪性腫瘍の可能性を疑う場合には、皮膚の一部を小さく採取して病理組織検査を行う皮膚生検が行われることもございます。
白斑の診断は、基本的に医師の視診(目で見て確認すること)による臨床的評価で行われます。多くの場合、診察だけで診断がつきます。自己免疫疾患の合併が疑われる場合: 血液検査などを行い、甲状腺機能、悪性貧血、糖尿病などの関連疾患がないかを確認することがあります。
シミ・白斑の治療方法を教えてください
当院でのシミや白斑の治療は基本的には自費診療でのご案内になります。
当院ではレーザーによるシミ・白斑の治療を採用しております。
こちらでは、各種レーザー機器の説明も併せてご紹介します。
白斑の治療は、病変の広がり、進行度、患者さんの年齢や希望などを考慮して決定されます。主な治療法には以下のようなものがあります。
1.外用療法(塗り薬)
○ステロイド外用剤: 白斑治療の第一選択となることが多く、炎症を抑える作用があります。初期や軽症の場合に効果が期待できます。長期使用による皮膚の萎縮などの副作用に注意が必要です。
○活性型ビタミンD3外用剤: メラニン色素の生成を促進する作用があります。ステロイドやタクロリムス軟膏に比べて副作用が少ないですが、単独では効果が弱い場合があり、光線療法と併用されることが多いです。
○タクロリムス軟膏: 免疫抑制作用のある薬剤で、顔や首の白斑に効果的とする報告があります。保険適用外の場合もあります。
2.光線療法(紫外線療法)
○特定の波長の紫外線を白斑部位に照射することで、色素細胞の増殖や移動を促し、色素の回復を目指す治療法です。
○ナローバンドUVB療法: 狭い波長のUVBを照射する方法で、効果が高く、従来の紫外線照射機に比べて発がん性も少ないとされています。
○エキシマレーザー/エキシマライト: 特定の白斑に高密度で紫外線を照射でき、正常部位を避けて照射できる利点があります。
3.内服薬
○急速に進行する白斑に対して、ステロイドの内服薬が用いられることがあります。全身に作用するため、副作用に注意が必要です。
4.外科的治療
○他の治療で効果が見られない場合や、症状が安定している場合に検討されます。
○皮膚移植(植皮): 色素のある健康な皮膚を白斑部に移植する方法です。ミニパンチグラフト法や吸引水疱植皮法などがあります。
○刺青(医療タトゥー): 口唇部や指先など、色素再生が難しい箇所に用いられることがあります。
5.カモフラージュメイク療法
○特殊な化粧品で白斑を隠すことで、見た目の改善を目指すものです。根本的な治療ではありませんが、患者さんの心理的な負担を軽減する効果があります。
Qスイッチレーザー治療
Qスイッチレーザーは、シミ治療において非常に効果的なレーザーの一つです。
【仕組みと効果】
メラニン色素の破壊: Qスイッチレーザーの光は、シミの原因であるメラニン色素に選択的に吸収されます。吸収された光エネルギーは熱エネルギーに変換され、メラニン色素を瞬時に破壊します。これにより、周囲の正常な皮膚組織へのダメージを最小限に抑えながら、シミを効果的に除去できます。
ターンオーバーの促進: 破壊されたメラニン色素は、マクロファージという細胞によって吸収・分解され、最終的に体外へ排出されます。この過程で肌のターンオーバー(新陳代謝)が促進され、新しい肌細胞へと生まれ変わることで、シミが徐々に薄くなっていきます。
※1回の施術で高い効果が期待できる場合もありますが、複数回必要なケースもあります。
※美容を目的としたシミの治療は保険適用外となります。
当院では、Qスイッチレーザー、ピーリング、ハイドロキノン製剤(セルニュースティック)を行っております。
治療ご検討の場合は当院までご相談ください。
炭酸ガスレーザー治療
炭酸ガスレーザーは皮膚に含まれる水分をターゲットにし、レーザー照射により組織内の水分が吸収・蒸発することで、患部の組織をピンポイントで除去できます。
炭酸ガスレーザーは、ほくろ・イボ・盛り上がったシミ・血管腫など、さまざまな皮膚疾患に対して安全かつ効率的に治療できるレーザーです。出血が少なく、傷跡が残りにくい点が大きなメリットです。
エキシマライト治療
エキシマライト治療は、白斑部分に308nmの紫外線をピンポイントで照射し、メラニン色素の再生を促す治療法です。従来の紫外線治療より効果が高く、照射範囲が狭いため正常な皮膚への影響も少ないのが特徴です。特に発症早期や顔・体幹の白斑で効果が出やすく、週1~2回の通院で徐々に改善が期待できます。ご興味ある方はぜひ当院皮膚科医にご相談ください。
最後に…
シミや白斑といった皮膚の変色は、単に見た目の問題に留まらず、時に患者様の心理的な負担となることや、まれに健康上の重要なサインである可能性もございます。皮膚の変色でお困りの際は、一人で悩みを抱え込まず、皮膚科専門医に相談することをおすすめします。
当院では、患者様一人ひとりの症状や悩みに真摯に寄り添い、最新の医療情報と技術に基づいた最適な診断・治療法を提案することを心がけております。患者様が安心して治療を受けられる環境を整え、皮膚の健康と心の平穏を取り戻すお手伝いをさせていただきます。
気になるシミや白斑でお悩みの方は、どうぞお気軽に菊川内科皮膚科クリニックまでご相談ください。