食欲不振

食欲不振について

食欲不振と体重減少は、多くの患者さんが経験する症状であり、様々な原因が考えられます。これらの症状は単独で発生することもありますが、多くの場合は互いに関連しています。以下に、食欲不振と体重減少について詳しく説明します。
食欲不振とは、通常の食事量を摂取する意欲が低下した状態を指します。これは一時的な現象であることもありますが、長期化すると深刻な健康問題につながる可能性があります。

食欲不振の原因

1,消化器系の問題
胃炎や胃潰瘍、慢性的な下痢、膵炎、消化器がんなどの消化器系の問題も食欲不振の原因となります。
2,消化器以外の臓器障害
慢性心不全、慢性腎不全、慢性閉塞性肺疾患など、消火器以外の病気でも食欲不振をきたす事があります。
3,精神的ストレス
精神的ストレスが長期的に続くと、交感神経が持続的な興奮状態になり、消化吸収を促進する副交感神経の働きが抑えられます。その結果、慢性的に食欲を感じなくなることがあります。
4,ホルモンバランスの乱れ
甲状腺機能低下症などのホルモン異常も食欲に影響を与えることがあります。
5,うつ病
うつ病患者の多くは食欲が減退します。これは気分の落ち込みや興味の喪失が食事への関心を低下させるためです。
6,薬物の副作用
鎮痛剤(NASIDs)やステロイド、抗菌薬や抗がん剤など一部の薬物治療は食欲不振を引き起こす副作用があります。
7,加齢
年齢を重ねることで消化機能が低下したり、噛む力や味覚が衰えることも食欲不振の一因となります

症状

1. 食べたい気持ちが起こらない状態が続く
2. 胃や腸などの消化器官に関する症状 
・胃の痛み
・吐き気
・下痢
3. 発熱
4. 早期膨満感(食事を初めてすぐにお腹が膨れたように感じる)
5. 体重の減少
6. 食事を摂ることを面倒に感じる
7. 食事を摂ることを忘れることがある
8. 食事の偏り(例:あっさりしたものばかり食べる)
9. 味覚障害(食べ物が食べても美味しく感じられない)

これらの症状が2-3週間以上続く場合は、深刻な食欲不振の可能性があります。原因精査が必要となる為、長時間続く場合はぜひ当院で相談ください。

検査方法

1. 問診
症状の詳細、生活環境、既往歴などを確認します。
2. 血液検査
炎症の有無、肝機能、膵機能、貧血の状態などを評価します。
3. 尿検査
腎機能の評価や尿路感染を起こしていないか確認します。
4. 画像診断
・腹部超音波検査  :肝臓、胆のう、膵臓、腎臓などの状態を観察します。
・腹部レントゲン検査:腸閉塞や異常なガスの有無を確認します。
・CT検査、MRI検査:より詳細な画像診断を行います。
5. 内視鏡検査
・上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)  :食道、胃、十二指腸を直接観察し、潰瘍やがんがないかを確認します。
・下部消化管内視鏡検査(大腸カメラ):大腸に潰瘍やがんがないかを観察します。

6. その他の検査
・心電図、心臓超音波検査  :心臓の機能を評価します。
・嚥下機能検査:嚥下機能を評価します。


 これらの検査は、患者さまの症状や状態に応じて医師が必要と判断したものが選択されて実施されます。検査結果に基づいて、適切な治療方法が決定されます。

治療

原因に応じた対応と生活習慣の改善が重要です。

医学的治療

1. 原因疾患の治療
がん、消化器潰瘍、うつ病、甲状腺機能低下症などの原因の場合、それぞれの疾患に応じた治療を行います。
2. 薬物療法
食欲不振に対する対症療法として、適切な薬剤を使用することがあります。

栄養管理と食事の工夫

1. 少量頻回摂取:1回の食事量を減らし、回数を増やします
2. 食品選択
・さっぱりした冷たい(そうめん、うどん、アイスクリーム)
・のど越しの良い食べ物(冷奴、卵豆腐、とろろ、プリン)
・消化の良い食品(おかゆ、脂肪の少ない肉類、緑黄色野菜)
3. 主食の工夫:ご飯が食べにくい場合は、麺類、パン、酢飯などを試します
4. 味付けの工夫:濃い味、酸味、香辛料を利用して食欲を刺激します
5. 栄養補助食品の活用:間食として栄養補助食品を取り入れます

生活習慣の改善

1. ストレス管理:定期的にストレスを発散し、自律神経のバランスを整えます
2. 運動:適度な運動を取り入れ、食欲を促進します
3. 食事環境の整備:リラックスできる雰囲気で食事をとります

体重減少について

体重減少は、意図的なダイエットによるものではなく、1年で10%以上もしくは半年で5%以上の体重減少を認めた場合、何らかの疾患が隠れている可能性があります。  

体重減少の原因

1. 食欲不振による摂取カロリーの減少
食欲不振が続くと、必然的に摂取カロリーが減少し、体重減少につながります。
2. 消化吸収障害
胃炎や潰瘍性大腸炎などの消化器疾患により、栄養素の吸収が妨げられ、体重減少が起こることがあります。
3. 代謝亢進
甲状腺機能亢進症などのホルモン異常により、代謝が亢進し、体重が減少することがあります。
4. 悪性腫瘍
がん細胞は正常細胞よりも多くのエネルギーを消費するため、進行性のがんでは著しい体重減少が見られることがあります。
5. 糖尿病
未治療の糖尿病では、体内でのグルコース利用が妨げられ、代わりに脂肪や筋肉が分解されてエネルギー源として利用されるため、体重が減少します。
6. 神経性食欲不振症(拒食症)
極度の食事制限や過度な運動により、著しい体重減少が起こります。
7. 慢性疾患
慢性閉塞性肺疾患(COPD)や心不全などの慢性疾患も、長期的な体重減少の原因となることがあります。
8. 薬剤性体重減少
甲状腺治療薬や糖尿病治療薬、抗がん剤には体重減少をきたすものがあります。

体重減少の評価

体重減少を評価する際は、以下の点に注意が必要です

1. 体重減少の程度と速度
半年で5%以上、または1年で10%以上の体重減少は、潜在的な健康問題を示唆する可能性があります。
2. 原因がはっきりしているか
ダイエットなどの意図的な体重減少と、病的な非意図的な体重減少を区別することが重要です。
3. 他の症状の有無
発熱、倦怠感、痛みなどの随伴症状の有無を確認します。
4. 既往歴と家族歴
患者の既往歴や家族歴を考慮に入れることで、潜在的な原因を絞り込むことができます。

サブタイプ 特徴  症状
IBS-D(下痢型) BSFSタイプ6・7の便が25%以上、タイプ1・2が25%未満 ・頻繁な水様便や軟便が見られます。
・急な便意を感じることが多く、トイレに間に合わないこともあります。
IBS-C(便秘型) BSFSタイプ1・2の便が25%以上、タイプ6・7が25%未満 ・便が硬く、排便回数が減少します。
・残便感を感じることがあります。
・コロコロとしたウサギの糞のような便が特徴です。
IBS-M(混合型) タイプ1・2と6・7の両方が25%以上 下痢と便秘が数日から数週間単位で交互に現れます。
IBS-U(分類不能型) 上記に該当しない 下痢や便秘、普通便など様々な症状

 

体重減少の診断・検査

体重減少の原因を特定するために、以下の検査が行われることがあります

1. 血液検査
貧血、炎症マーカー、甲状腺機能、血糖値などを評価します。
2. 画像検査
胸部X線、腹部超音波、CT、MRIなどにより、内臓の異常を確認します。
3. 内視鏡検査
上部消化管内視鏡や大腸内視鏡により、消化器がんがないかを直接観察します。
4. 心理評価
うつ病や摂食障害の可能性を評価するために、心理検査を行うことがあります。

体重減少の治療

体重減少の治療は、その原因となる疾患に応じて異なります。以下に代表的な治療法を示します

1. 原因疾患の治療

  • 糖尿病:適切な血糖コントロールのための薬物療法やインスリン療法を行います。
  • がん:原発巣に対する治療(手術、化学療法、放射線療法など)を行います。
  • 甲状腺機能亢進症:抗甲状腺薬による薬物治療や、場合によっては放射線治療や手術を行います。
  • うつ病:心理療法や抗うつ薬による薬物療法を行います。
  • 薬剤性:原因薬剤の中止を検討します

2. 栄養療法

  • 適切なカロリーと栄養素の摂取を目指します。
  • 必要に応じて、経腸栄養や静脈栄養を検討します。
  • 少量頻回の食事を推奨します。。
  • 食事の質と量を徐々に増やしていく方法を指導します。

3. 運動療法

  • 筋肉量の維持・増加を目的とした適度な運動を推奨します。
  • 過度な運動は避け、患者の体力に応じたプログラムを作成します。

4. 薬物療法

  • 制吐剤:悪心・嘔吐がある場合に使用します。
  • 消化酵素剤:消化吸収障害がある場合に使用します。

5. 心理的サポート

  • カウンセリングや認知行動療法を行います。
  • 家族や介護者への教育と支援も重要です。

6. 環境調整

  • 食事環境の改善(雰囲気、温度、照明など)を行います。
  • 社会的孤立を防ぐための支援を行います。

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~ 医療法人社団 俊爽会 理事長 小林俊一 監修 ~

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