アニキサス
原因と病態
アニサキスは魚介類に寄生する線虫の一種で、生や加熱不十分な魚を食べることで人間に感染する可能性があります。胃や腸に刺さって、腹痛など様々な症状を引き起こします。アニサキスに感染しても、実際に症状が出るのは約5%程度と報告があります。症状は主にアレルギー反応が関与していると言われており、重症のアナフィラキシーショックを起こす場合もあります。内視鏡などで速やかに体内のアニサキスを除去する事で症状が改善されます。
感染経路と好発時期
- サバ、イワシ、カツオ、サケ、サンマ、アジなどの魚介類に寄生
- 日本では冬場が中心
症状
アニサキスが刺さる部位によって、症状が異なります。
①激しい腹痛
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みぞおちを中心とした鋭い痛み
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波打つようにズキズキと痛む
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非常に激しく、床に倒れるほどの痛みになることもある
②吐き気・嘔吐
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腹痛に続いて現れることが多い
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「空吐き」のような症状が出ることもある
③その他の症状
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発熱
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下痢
- 蕁麻疹
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めまい
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頭痛
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下血
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腸管穿孔
症状は通常、感染した魚を食べてから数時間以内に現れます。胃アニサキス症の場合は3〜4時間後、腸アニサキス症の場合は十数時間〜数日後に症状が出現します。
ただし、症状の程度には個人差があり、軽い腹痛や吐き気だけの場合もあります。また、全く症状が現れないこともあります。症状は個人差があり、軽い場合もあれば重症化する場合もあります。
アニサキス症が疑われる場合は、速やかに医療機関を受診することが重要です。当院では緊急の内視鏡検査も対応しており、体内のアニサキスを除去する事が出来ます。
胃アニサキス症と腸アニサキス症の共通点と違い
特徴 | 胃アニサキス症 | 腸アニサキス症 |
---|---|---|
発症時間 | 数時間以内 | 数日後 |
症状 | 激しい風痛 吐き気・嘔吐 腹部膨満・胃もたれ |
腹部の鈍い痛み 便秘・下痢 下血 胃もたれ・腹部膨満 |
主な部位 | 胃 | 腸 |
診断方法 | 内視鏡で虫体確認 | CT検査で腸管壁の肥厚確認 |
胃アニサキス症は急性の激しい痛みを伴うため比較的早期に診断されやすい一方、腸アニサキス症は慢性的な消化器症状が中心で診断が遅れることがあります。腸アニサキス症は発症頻度は約1%以下ですが、重症化する可能性があります。
検査
胃アニサキス症
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上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)が主な診断方法です。高解像度の映像で胃内部を詳細に観察し、アニサキスを直接確認します
腸アニサキス症
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CT検査、腹部超音波検査、小腸内視鏡検査などを用います
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超音波検査では、腸管壁の肥厚や腸液貯留などの特徴的所見が見られることがあります
その他の診断方法
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問診:生の魚介類の摂取歴を確認します
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血液検査:アニサキス特異的IgE抗体を測定します(ただし、感染初期には陰性の場合があります)
治療法
胃アニサキス症
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内視鏡下でアニサキスを摘出します
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虫体の除去後、痛みは速やかに改善することが多いです
腸アニサキス症
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主に保存的治療(絶食・補液など)を行います
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小腸内視鏡で虫体を摘出する
薬物療法
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痛み止めや吐き気止めを使用します
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アレルギー症状がある場合は、抗ヒスタミン薬やステロイドを投与することがあります
治療後の経過
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虫体の除去後、痛みは速やかに改善することが多いです
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摘出が困難な場合や症状が軽度の場合、自然排出を待つこともあります(体内に残存したとしても1週間ほどしか生きられないと言われています。)
予防と対策
アニサキス症の予防方法には以下のようなものがあります
魚の取り扱い
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内臓を生で食べない
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目視でアニサキス幼虫を確認し、除去する
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60°Cで1分以上、または70°C以上で加熱する
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-20°C以下で24時間以上冷凍する
その他の注意点
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生食を避け、十分に加熱した魚介類を食べる。ただしアニサキスアレルギーの患者の約10%は、加熱魚類にも反応する可能性があります。
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一般的な調味料(食酢、塩、醤油、わさび)では死滅しないので注意する
当院では鎮静剤を使って、
ほとんど眠った状態で内視鏡検査を行っています!
見落としを防ぐAI内視鏡を導入し、経験豊富な内視鏡専門医師が、
苦痛を少なく楽な内視鏡検査を実施いたします。
今まで内視鏡検査に不安を感じられていた方、
他院で行って大腸カメラや胃カメラの検査で痛みや苦しさを感じた方も
安心して検査を受けていただけるよう、様々な取り組みを行っております。